常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

tribune

昨日(9/25/10),U-17女子W杯の決勝戦が行われました。対戦カードは日本vs.韓国。結果は3 vs.3(5 vs.4)とPK戦までもつれ込み,韓国が初の栄冠を手にしました。
以下は,試合開始から先制点までの場面です。
If any of the 22 young ladies down on the pitch were at all intimidated by the huge crowd or the presence of heartthrob David Beckham up in the VIP tribune, they didn’t show it in the first 12 minutes. The Koreans marched up and scored the opener with their first shot of the match. Lee Jungeun squared up to the ball in the sixth minute some 25 yards from goal and arrowed it to the top corner.
今回注目するのがtribuneです。文脈から察しがつくとは思いますが,辞書を引いてみると「(議会などの)演壇,高座」や「(教会の)内陣主教席,後陣」とありました(『オーレックス英和辞典』旺文社)。よって,ここでは「VIP席」と訳せますね。
tribuneには他にも「(ローマ史)護民官,軍事司令官」や「人民の権利の擁護者」という意味があります。ここから,この単語には「位の高い」というニュアンスが感じ取れます。(ゼミ生persimmon柿生)

phalanx

U-17女子W杯の決勝戦についての記事から,また英語表現を拾います。以下は,日本が2-2の同点から一時勝ち越した場面です。
The fans were able to catch their breath a bit as the second half began at a less-frenetic tempo, but the lull in the action lasted only 11 minutes and was broken by the outstanding Japanese winger Yokoyama. She bolted past a phalanx of defenders, as she has done on so many occasions at these finals, and crossed low. Chika Kato was on hand to poke home into the open net, flinging herself at the deflected ball. Japan continued to press forward, prodding for a fourth goal. It nearly came in the 64th minute, but the Korean keeper was somehow able to push Yoko Tanaka’s curling shot against the post.
http://www.fifa.com/u17womensworldcup/matches/round=253577/match=300125778/summary.html
今回採り上げるのはphalanx /feilæŋks/という単語です。これは「(古代ギリシャの歩兵による)(密集)方陣《盾と槍とで歩兵が作る戦闘隊形》」という意味があり,そこから派生して「(人・動物などが敵に対してとる)密集,集結」の事を指すようになりました(『オーレックス英和辞典』旺文社)。
ここには載せることが出来ませんが,記事の中には多く軍隊用語がちりばめられています。決勝戦を一種の戦争のように捉えているのですね。(ゼミ生persimmon柿生)

immaculate

昨日のDY(09/25/10付け)のスポーツ欄にあったUnrivaled Hakuho wins 60th straightという記事のリード文から英語の表現を拾います。
The road to an immaculate 60th straight win was almost too perfect.
今回取り上げる表現はimmaculateです。辞書でこの単語を調べてみると,「一点の汚れもない,しみひとつない」といった意味がありました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。つまり,ここでは「無傷の60連勝」とするのが適切だと考えられます。
このimmaculateの語源を調べてみると否定の接頭辞である“in-”とラテン語の“macula”が合体してできた単語であることがわかりました(『リーダース英和辞典』第2版,研究社)。ちなみに,in-の後に両唇音である/b/, /p/, /m/などが来る場合,このin-は同化(assimilation)の作用を受けてim-となります。次に,辞書でmaculaを調べると「《解》《皮膚の》あざ,斑,斑紋;《太陽・月などの》黒点」と出ていました(『リーダース英和辞典』同上)。以上をまとめると[何もない(im-)あざやしみ(macula)が]となるので,自然とimmaculateの「一点の汚れもない」という定義が成り立ちます。
丸暗記ではなくて少しでも工夫して,体系的に語彙を増やしていきたいと思います。(ゼミ生 camel)

excoriate

本日のDY(09/26/10付け)のThe Wshington Postにあった尖閣諸島周辺で起きた漁船衝突事故を巡る記事から英語の表現を拾います。
Not all of the military statements went over well in China. In recent weeks, the Foreign Ministry has begun to push back against the military. In recent interviews in Beijing, officials and senior advisers to the government excoriated the military for making policy pronouncements.
今回扱う表現はexcoriateです。辞書でその意味を確認してみると「…の皮をはぐ;…の皮膚をすりむく;〈皮膚〉をひりひりさせる」とありましたが,そのほかに「…を激しく非難する」という意味もあることがわかりました(『ジーニアス英和辞典』第4版,学研教育出版)。
英英辞書でも調べてみると“to express a very bad opinion of a book, play, person etc”と出ていました(LONGMAN Advanced American Dictionary)。ここからも「非難する」という意味合いが伝わってきます。
中国では軍部の人間が外交の声明を発表する場合があるようです。もしかしたらこれが強硬派と報じられている一因かもしれません。(ゼミ生 camel)

spin#2

JT OnlineにあったNot seeing and yet still believingという記事から。浅草にある緑泉寺では「暗闇の旅路」("Journey in the Dark")という目隠しをして全国各地の料理を楽しむイベントが開かれています。
During a press preview event held last week, attendees — including this reporter — were blindfolded and led into a large tatami room in the Asakusa temple. As we all sat down on our knees, we were told to "tighten your eye masks," a humorous spin on the "fasten your seat belt" announcement heard just before takeoff in an aircraft. Then, as the sound of an engine blasted out from somewhere in the room, we realized we are embarking on a virtual trip to Minami-Satsuma.
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fs20100923a3.html
英文はイベントの開始直後を描写したものですが,今回注目したのは太字のspin。spinには色々な意味があり,以前ブログでも「簡単なドライブ」という意味を採り上げました。では今回は?
cf. http://d.hatena.ne.jp/A30/20100911/1284185582
リーダーズ英和辞典』(第2版,研究社)を引いてみると,spinで「ひねり,工夫,独特の解釈」とありました。記事は,飛行機が離陸する時のアナウンス"fasten your seat belt"をひねった,つまり「もじった」ということでしょう。(院生 小山本)

gather#2

JT OnlineにあったWhere the osprey and the oxymoron playという記事から。
NEW YORK — The United States sets aside an area larger than Japan for wildlife conservation. This is one of the things I found out as we spent two weeks this past summer at an isolated cottage on the Chesapeake Bay.
"Cottage," I gather, is a vacation term here.
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/eo20100926hs.html
gatherというと「集める」あるいは「集まる」という意味で記憶している人も多いと思いますが,集めた情報をもとに「(…から)推測する;〈…ということだと〉結論を下す」(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)という意味もあります。
英英辞書にはto believe that something is true based on the information you have(Longman Active Study Dictionary)とありました。essayなんかを書くとき使ってみるといいかもしれません。(院生 小山本)
cf. http://d.hatena.ne.jp/A30/20100913/1284368886

hairy

スーザンボイルさんにあらたな危機が!このhairerという言葉はどんな意味なんでしょうか。gachaくん,どうぞ。(UG)
SuBo's stalker terror
Things are getting hairier for the Angel
SUSAN Boyle is being stalked by a crazed fan who managed to get her phone number.
The star has been hounded by the man claiming to be a relative. Her worried family fear it will only be a "matter of time" before a serious incident occurs. Susan's big brother Gerry today reveals details of worrying calls made by the male stalker, who has got through to talk to SuBo more than once. It is the second time a fan has posed as a member of the family in order to contact the 49-year-old Britain's Got Talent star who sang for the Pope last week. He told us: "He is calling Susan and pretending to be me or other relatives. It's been going on for a while. Susan knows who I am when I get on the phone. She never mistakes me for him." He added: "There are some weird people around. But this one is stalking her and has got her number. It is serious. Stalkers can become dangerous."
http://www.newsoftheworld.co.uk/showbiz/994217/Susan-Boyle-stalker-makes-calls-pretending-to-be-relative.html

cross the bridge

フィリピンで,手本として医師の喫煙が禁止になったというThe Straits Timesの記事です。
Doctors banned from smoking
Asked what would happen to doctors who violate the order, Aragon said a committee would decide that later. 'We will cross the bridge when we reach it,' he told AFP.
http://www.straitstimes.com/BreakingNews/SEAsia/Story/STIStory_583028.html
太字の部分はWe'll cross that bridge when we come to it.(取り越し苦労をしてもしかたがない)という諺(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。ここでは,「時期が来たらそれ相応の対応をとる」という意味でしょう。(院生 小山本)

drizzle

ゼミ生Shoheiです。今日は陸上部の試合を久しぶりに見に行きました。私にとってやはり陸上,特に短距離のリレーはいつ見ても盛り上がるものです。ところがそんな私の気持ちとは裏腹に,試合が進むにつれて天気が悪くなっていき,夕方から雨が降り始めました。静かに降る細かい雨でした。今回はそういった雨を英語でどの様に表現するのか記事にしてみました。
まず,雨が降るという表現はrainですね。では小雨はどうでしょうか。a light rain, a thin rain, a drizzleなどがあります。ここでは,drizzleを詳しく紹介します。
drizzleを辞書で引くと
noun: weather that is a combination of light rain and mist
verb: if it is drizzling, light rain and mist come out of the sky(LDOCE
名:細雨,霧雨,こぬか雨
自動詞:[通例itを主語にして]細雨[霧雨]が降る(+down)(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)
ちなみに『〈試合などが〉(雨で)中止[順延]になる』は,《米》be raind out/《英》be raind offといいます。The competiton I watched was not rained out, but it began drizzling after the competiton. この英文は,今日私が思った事を上記の表現を使って表したものです。
一口に雨と言っても,色々な種類の雨があり,特に日本語は雨の描写が多くあります。はっきりとした四季があり,自然に対する意識が強い日本だからでしょう。英語学習を通して日本語の特徴のある一面も同時に発見する事が出来ました。(ゼミ生Shohei)

take the Fifth

常時英心では数字に関する数々の表現,特に5(five)を用いたものを度々紹介してきました。
cf.http://d.hatena.ne.jp/A30/20100921/1285077955
cf.http://d.hatena.ne.jp/A30/20100622/1277208668
そこで,私も数字の5を用いた英語表現でまだ採り上げられていないものを紹介します。
今回はtake the Fifthという表現を扱いますが,直訳すると「5番目のものを取る」といったような意味です。すると,それは「何の5番目なのか」という疑問が湧くと思います。『新英和中辞典』(第5版,研究社)によるとtake the Fifthで「(米口語)〔…に〕黙秘権を行使する〔on〕」という意味になり,その由来は「米国憲法の修正第5条で黙秘権を認めたことから」とありました。例文としてはI'll take the Fifth on that. (私はそれについてしゃべりたくない。)が挙げられています。
なるほど,このfifthは米国憲法(の5番目)を表していたのですね。
余談になりますが,この表現の学習を通じて,アメリカの憲法では序数のfifthが黙秘権をたとえていますが,日本の憲法ではninthが平和の象徴のように感じられるのではないでしょうか。
次回はカメ女さんです。 (ゼミ生 pear

cramp

少し前の記事ではありますが,今日はCNN.com(14/09/10付)の記事から英語表現を拾っていきたいと思います。近年,格安航空機が注目を集めていますね。そんな中,イタリアの機内装飾品製造会社、アビオンテリアーズ(Aviointeriors)が新たな座席を開発し,実用化に向け動き出しているようです。(以下記事より抜粋)
(CNN) -- Cramped in coach? One company is looking at a new way to trim legroom in the cheapest seats.
A space-saving airline seat resembling a saddle went on display Tuesday at the Aircraft Interiors Expo Americas in Long Beach, California.
The SkyRider seat, developed by Italian firm Aviointeriors, would offer airlines a way to squeeze in more passengers by reducing the space between rows of seatbacks to just 23 inches. The seat pitch in most airlines' economy class cabins is 30 to 32 inches.
http://edition.cnn.com/2010/TRAVEL/09/14/skyrider.compact.seats/index.html?iref=allsearch
今回注目した単語はcrampです。名詞だと「(筋肉の)けいれん,ひきつり,こむらがえり」などの意味があります。しかし,本文のcrampedは名詞ではなく形容詞なので,その意味を確認してみると「窮屈な,狭苦しい」と書かれていました(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。
アビオンテリアーズ(Aviointeriors)が開発した新座席「スカイライダー(SkyRider)」は座席のスペースが何と23インチ(58.42センチ)とまさに「最狭」。記事によると,3時間以内の飛行なら快適といわれていますが…果たしてどうでしょうか。
ちなみにここでのcoachの意味ですが,以前ブログで取り上げられています。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100711/1278827597
(ゼミ生 gacha)

pole position#2

Persimmon君が先日pole positionを取り上げてくれていました(http://d.hatena.ne.jp/A30/20100925/1285406882)。DY(09/26/10付け)のTHE TIMESにあった記事の見出しにも同じ表現が使われていたので紹介したいと思います。
As ice melts, Russia jostles for pole position
見出しにあるpole positionにはPersimmon君が紹介してくれたように「有利な立場[位置].」という意味があります(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。見出しにあるiceというのは北極の氷河を指しますので,北極の氷河が解けつつあるので,海底に眠る天然資源をめぐる争いが激化していると見出しから読み取ることができます。記事によるとロシア,アメリカ,カナダ,グリーンランドノルウェーといった国が領有権を主張し合っています。辞書でjostleを調べると「押し合う」とあり,用例には“jostle for position 良い場所・地位を占めようと人[ほかのもの]を押しのける”というのがありました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。エネルギーをめぐって極寒の地で熱い戦いが繰り広げられている様子がこの語から伝わります。
この激しい戦いからforとpositionの間にあるpoleはpole position(有利な立場)のpoleとNorth pole(北極)のpoleを意識していることがわかります。(ゼミ生 camel)

衝突butt

本日のリーグ戦でH大学との激しい攻防戦を制したLbow-Shoulderです。
NEWSWEEK(9月25日)で,中国漁船衝突事故についての記事を読みました。その表題が以下のものです。
China Butts Heads With Japan
http://www.newsweek.com/2010/09/25/china-butts-heads-with-japan.html
辞書によると,buttは「頭で突く;<頭を>突き出す,ぶつかる」とあります(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社)。またインターネットで更に調べると,butt heads withで「〜とぶつかる,衝突する,角を突き合わせる」とありました(英辞郎on the Web)。
またbutt headではなくhead butt「頭突き」という言葉は日本でも馴染みがあるかと思います。イメージしていただきたいのですが,頭突きをする際(頭突きをしたことはありませんが…),相当勢いよくお互いぶつかりますよね。つまりただの「衝突」ではなく,頭突きのような勢いの「衝突」であるというイメージがhead buttからとれます。日本は船長を解放しましたが,まだまだ緊張状態は続いています。領土問題も絡んでいるので一層複雑になっていますが,一刻も早く解決することを願います。次はb.m.さんです。(ゼミ生 Lbow-Shoulder)

hairy(解説)

田邉先生からのご指名質問にお答えします。(以下の太字が質問部分)
Things are getting hairier for the Angel
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100926/1285499042
今回はhairyという単語の意味について考えるものでした。hairyと聞くと「毛深い,毛むくじゃらの」といった意味が直ぐに浮かびます。この意味で上記の太字部分を試訳すると,「事態はだんだんと毛深くなっている」という何とも恐ろしい意味になります。
辞書を引いて確認してみると,「(略式)困難な,危険な,ぞっとするような」,「(英略式)無作法な,興奮した」とありました(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。確認しておきますと,今回の記事は,人気歌手スーザン・ボイルさんのストーカー被害について採り上げたものです。そのことを踏まえ,上記の1文を訳してみると,
スーザン・ボイルさんへのストーカー行為はだんだんエスカレートしている」といった訳が自然かと思います。(ゼミ生 gacha)