常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

駆け足視察

遅くなって申し訳ありません。少し前にアップした記事にてUG先生から「駆け足視察は?」という旨のコメントを頂きましたので、本記事ではその「駆け足視察」について取り上げます。temporary housing - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から

先ほども転載致しました福島民報の見出しは以下の通りでした。
もっと思い聞いて 安倍首相来県 駆け足視察に不満も 訴え伝え切れず
http://www.minpo.jp/news/detail/201212305775


「駆け足」と言えばrunやgallopが想起されますが、ここで言う「駆け足」は比喩表現で、「事を速く行う事。事があわただしく去来すること」という意味(『広辞苑』第5版、岩波書店)の事ですので、当てはまりません。そこで『スーパーアンカー和英辞典』(第2版、学習研究社)を引いてみますと、"We made a hurried tour of Europe. /We did a whirlwind tour of Europe."で「我々は駆け足でヨーロッパ旅行をした」と訳出されていました。さらに「whirlwindは「つむじ風、旋風」が原義で、比喩的な意味での形容詞としては、「あわただしいの意」との説明もされています。

英英辞典でwhirlwindは、Cambridge Advanced Learner's Dictionaryに"describes an event that happen very fast"、LDOCEに"a whirlwind situation or event happen very quickly"とそれぞれ定義されています。この定義から確かに「あわただしく事が去来すること」が想像できます。
以上のことから「駆け足視察をする」はdo a whirlwind visit(inspection)、もしくはmake a hurried visit(inspection)となるかと思います。(EnDough)