常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

breath down one's neck

 ヒラリークリントン氏は自身が著した新書の中で、ドナルドトランプ氏をずっと「気味の悪いやつ」と感じていると明かしました。

Hillary Clinton has called Donald Trump a "creep" in her new book, saying he made her "skin crawl" atdebate during their presidential campaigns.

She says he made her feel "incredibly uncomfortable" and was breathing down her neck, while pacing behind her.

Politico magazine called the exchange "the ugliest debate ever seen".

Both candidates traded insults during the bitter 2016 campaign, and Mr Trump still uses the nickname "Crooked Hillary".

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-41023053

今回取り上げるフレーズは “breath down one's neck” です。

 直訳すると「〜の首に息を吹きかける」となりますが、『ジーニアス英和辞典第5版』(大修館) によれば、「〜にずっと凝視している、〜にしつこくまとわりつく、〜を脅す」という意味での口語的な表現です。

 またこのフレーズの語源をみてみると、見ず知らずの他人の息が自分の背中や首で感じられるほど至近距離なことに抱く嫌悪感や不快感を感じた体験からきていることがわかりました。

 したがってこの文脈に沿って訳すと「(トランプに) 脅されている、ずっと見られている」となると考えられます。

 さらにこのフレーズは相手を突き放したり、非難したりするときに用いるものであるため、当時の大統領戦で繰り広げられていたお互いの人格をスピーチで猛烈に批判していたことに象徴するものであると窺えます。トランプ氏が大統領になってから7ヶ月が経とうとしていますが、あの選挙でクリントン氏が勝利をしていたら今のアメリカや世界はどうなっていたのでしょう。(Hapidra)