常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

不撓不屈

 先程、NHK BS1でイタリア・セリエA総集編「長友佑都 試練の3年目」という番組を見ました。そこからの落ち穂拾いです。

 セリエAの強豪、インテル・ミラノに所属する日本代表DF長友佑都選手は監督の信頼に応えてチームの主軸として活躍し、本職の左サイドバックだけでなく右サイドや中盤もこなし新境地を開きました。一方で今季は深刻なケガにも遭遇し、シーズン途中で無念の離脱を余儀なくされたのです。同番組は、長友選手が試練をどう乗り越えたのか、2012−13シーズンの奮闘ぶりを描いた興味深いものでした。そうした長友選手の姿を見ていて私は不撓不屈という言葉が心に浮かび、これを英語で何と表現するのか調べてみる事にしたのです。なお、UG先生が長友選手に関する記事を最近のentryで取り上げられているので、そちらも併せてご参照ください。

cf.失敗は人の心を豊かにする - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から

 さて、不撓不屈についての英語表現を調べてみると、まず『ルミナス和英辞典』(第2版,研究社)には、「(頑なに目的を曲げない)inflexible;(負けん気で屈しない)〈格式〉indomitable, unyielding」とありました。その他には研究社の『新和英中辞典』にindefatigableとあり、『斉藤和英大辞典』にはdauntless;undaunted;tenacious、『EDR日英対訳辞書』にはdeterminedなどとあります。さらに『日本語WordNet(英和)』をみてみると、不撓不屈という言葉が“showing sustained enthusiastic action with unflagging vitality”「よどみない活力で熱のこもった行動を支えることを示す」と説明されており、加えてその英訳としてtireless, unwearying, unflaggingも対応可能である事が新たに分かりました。不撓不屈に関する同辞書の説明は、まさに長友選手を形容するに相応しい表現となりますね。

 最後に、『斉藤和英大辞典』から心に響いた英文を取り上げたいと思います。“A man can achieve nothing great without tenacity of purpose.”「不撓不屈の志無くんば大事を為す能わず。」(失敗上等のPhantom)