常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

cheek by jowl/ ahead of the curve/ head-on

昨日付(24/Oct./2011)のThe Japan Timesにて,人口増加と資源の減少についての記事がありました。この記事から,いくつか英語表現を拾います。

Cheek by Jowl: Tourists gather in Beijing’s Tiananmen Square on China’s National day on Oct. 1. Although its growth rate is shrinking, China remains the world’s most population nation.
(前略)As early as 1798, Thomas Malthus gloomily forecast that our ability to reproduce would quickly outstrip our ability to produce food, leading to mass starvation and culling of the species. But an industrial revolution and its impact on agriculture proved Malthus and later doom-sayers wrong, even as our numbers doubled and redoubled with accelerating frequently.(中略) Today, though, it seems reasonable to ask if Malthus wasn’t simply a couple of centuries ahead of the curve.
(中略)(Even so) at summits that seek to shape Earth’s future, tackling population growth head-on is almost taboo.
最初に,太字で示したculling of the speciesについてですが,こちらは少し怖いと思いました。cullは「1抜粋する(select) 2〈老弱な羊などを〉《群れから》えりのける,淘汰する」という意味があります。つまり本文では,人類を選別し,弱い立場の人を淘汰してしまうという意味にも取れます。
さて,赤字で示したcheek by jowlとはどんな意味でしょうか。これは,写真や記事から簡単に推測することができます。『リーダーズ英和辞典』第2版で調べてみますと,cheek by jowlで「密接して,緊密に;親しくて,懇意で」とあります。LDOCE 4th Eds.であれば“very close to someone or something else”と定義されています。写真やその歴史的な意義で世界的に有名な天安門広場では,人のほほとあごが付くくらい大勢の人であふれ返っているということです。
続いてahead of the curveを取り上げます。『リーダーズ英和辞典』第2版によると,「時代の先端に,時代を先取りして」という意味です(c.f. behind of the curve)。それでは,なぜ「曲線より先」が「時代を先取りして」という意味になるのでしょうか。それは,車や馬車,もしくは歩いている時などの移動する時のことを比喩した表現だと考えるとわかりやすくイメージしやすいように思われます。たとえば,車か何かで道(時代の比喩)を走っていて,目の前に急な曲がり角(時代の流れが変わる時)が登場すると,曲がり角の先は見えないでしょう。しかし,もしそれがわかってほかの車にどんなカーブなのか示せる人がいたら,その方は「先を読んでいる」なんて言われると思います。ここでは,人類は飢餓に陥ったり淘汰されたりするのではないか,と予見したマルサスのことを単純に何世紀も時代の先を読んでいたとは言えない,と述べられています。
最後に,head-onです。これは,「正面から,まっこうから」という意味です(『リーダーズ英和辞典』第2版,研究社)。ここでは,おそらく「単刀直入に」という訳がしっくりくると思われます。地球の未来を想像し,単刀直入に人口増加問題に取り組むことはタブーなのです。未来のためにも,われわれは自然と真剣に向き合わなければならないといけません。(Othello