常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

conjure up

近年の日本プロ野球界では,投手・野手関係なく日本人選手のメジャー・リーグ挑戦が見受けられます。松坂大輔投手や松井秀喜選手,イチロー選手などがその1例です。JT. online(17/10/10付)には,そんな現状の先駆けとなった“野茂英雄投手”についての記事が掲載されていました。(以下記事からの抜粋)
The Nomo story conjures up the American Dream of the pioneering foreigner who arrives far from home, starts out as an underdog and member of a minority and works hard to make good. That is the philosophy that America was built on.
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/sb20101017j3.html
今回注目する表現はconjure upです。以前この単語を見たのは手品に関する文章中でしたが,今回の場面では手品は関係ありません。辞書で意味を確認してみると,「〈人が〉〈記憶・イメージなど〉を思い出す,思い起こさせる,〈言葉・音が〉〈記憶・イメージなど〉思い出[起こ]させる(up)」とありました(『ウィズダム英和辞典』第2版,三省堂)。野茂投手の功績だけに目をやると,上記の記事の内容にピンと来ないかもしれませんが,当時,日本人投手なんて良くて3Aレベル(メジャー・リーグの1つ下のランク)と思われていました。その事を考えると記事の内容が理解できます。記録(ノーヒット・ノーランなど)を残すだけでなく,記憶にも残る選手の一人として人々の心に彼の印象が刻まれているようです。(ゼミ生 gacah)