常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

cave in to(解説)

pearです。先ほどの田邉先生からのご指名質問に答えさせていただきます。
まずは質問内容の確認をします。
Govt 'will not cave in to China' / Domestic law, not foreign pressure, to decide detained captain's case
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100921/1285061127
内容は上記の見出しでなぜcave in toという表現が用いられているのかということでした。
caveは「洞穴」という意味でおなじみですね。
cf.http://d.hatena.ne.jp/A30/20100826/1282822196
cave inを『新英和中辞典』(第5版,研究社)で調べると,「1〈屋根・建造物が〉崩れ落ちる;〈地盤・道路・鉱山などが〉陥没する,落盤する,落ち込む;〈帽子・壁・ほおなどが〉へこむ 2〈人が〉へたばる」とあり,その次には「3(反抗をやめて)屈服[降参]する」という意味があり,今回はこの意で用いられています。この表現ではto以下に(主語が)屈服する相手や対象がきます。「相手に向かって崩れ落ちる」ということから私には「参りました」と土下座をする姿が想像されました。見出し部はwill not cave intoとなっていますから,「日本政府は(尖閣諸島問題に関して)中国に決して降参(譲歩)はしない意向」と訳せます。
そして,この表現が数ある「降参する」という意の言い方から記事の見出しに選ばれた理由を知るために『OXFORD英英辞典』を調べると,以下のように説明がされていました。
cave in to: to finally do what sb wants after you have been strongly opposing them
なるほど,cave in toは「強く反対した後に最終的にやむをえず降参する」といったニュアンスがありますから,その否定形は「強く反対し続ける,強硬姿勢をとり続ける」といったことを強調しているのですね。
ご指名質問を通してcave in toという表現の深さを知ることができました。ありがとうございました。(ゼミ生pear