常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

dingo

先日,news.com.auの記事を見ていた時dingoという単語を目にしました。
http://www.news.com.au/national/baby-bitten-100-times-by-pet-dingo-cross/story-e6frfkvr-1225912535871

そういえば昨夏,AUS滞在中のことです。偶然その単語をラグビー観戦中に耳にしました。その場面は,1人の選手がパスを躊躇した上にボールを奪われ瞬間だったのですが,今回はファンの発言をそのまま載せたいと思います。

Hey dingo, come on!!

今回注目する単語はdingo。dingoはオーストラリア産の土着犬(野犬)で,家畜化された犬の中では最古の種の一種です。さてこの単語,ラグビーの試合とどんな関係があるのでしょうか。辞書を引いてみると「(豪略式)臆病者,ろくでなし」という意味がありました(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。dingoという犬の性格・特徴を調べてみると「耐久力は抜群,人間が知っている中でも最も狡猾であると言われる。」とありました。この犬の特徴(狡猾)から辞書意味の「臆病者」へ派生した経緯が伺えます。http://www.geociticies.jp/mori_tsubo/species/dingo/dingo.html

さらに,今回のように犬の性格や特徴から生まれた意味,語彙の例をもう1つ採りあげたいと思います。
元となる単語は,皆さんもご存じgolden retriever(ゴールデン・レトリーバー)です。辞書を引くと犬名以外に,“golden retriever rule”という表現を見つけました。意味は「〔聖書〕[the](キリストの山上垂訓中の)黄金律《他人にしてもらいたいことをあなたも他人になせ》行動の基本原理」とあります。(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。golden retrieverという犬の特徴が「感受性豊かで、人を喜ばせたいという強い願いを抱いている」であることを知っていると,上記の意味はすんなりと理解できますね。http://dog.webaf.biz/ogataken/golden-retriever.html

ことばとその意味が繋がっていく過程には必ず喜びがあります。今回もそんな経験が出来ました。(ゼミ生 gacha)