常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

not a sausage

北欧雑貨店 Flying Tiger で買ったバタークッキーの缶に、犬のシルエットと共に載っていた単語 “sausage dog” 。そのシルエットで予想がついてしまいましたが一応『ジーニアス英和辞典第四版』(大修館書店)で調べてみると、「ダックスフント」と載っていました。

               

そして、辞書で調べている時 私はさらに気になる idiom を発見したのです!!

それが今日取り上げたい idiom、 “not a sausage” です。『ジーニアス英和辞典第四版』(大修館書店)には「少しも…ない」とだけ載っており、『英辞郎 on the web』にはさらに「一文もない」と載っていましたが、由来を詳しく知りたくなったのでインターネットで調べてみました。

“not a sausage” の “sausage” は cockney rhyming slang で、“cash”「お金」を意味するのだそうです。cockney rhyming slang とは、イギリス英語の方言である コックニーの特有の押韻俗語です。また、元々は商人などの間で暗号のように使われていたものだそうです。

どのように暗号化されていたのかというと、暗号化したい単語の語尾が韻を踏んでいる表現をつくり、その表現自体もしくは前の部分を暗号として使うのです。
そして今回取り上げる “sausage” は、“cash” を暗号化する際に作られた “sausage and mash” という表現から来ていることがわかりました。 “cash” と “mash” が韻を踏んでいます。そして、この表現の前の単語をそのままその意味に置き換えて、 “sausage” は “cash” を表す暗号となったのです。そこから、“not a sausage” という idiom ができました。
秘密の言葉として使われていただけに、韻を踏むのに使われた表現を知っていないと意味を理解するのが難しいと思いました。

他にも、“Adam and Eve” は “believe”、“Spanish Waiter” は “See ya' later” を意味していたり、解読するのは難しいですが答えがわかると面白いです。cockney rhyming slang がたくさんまとめられているサイトを見つけたので、下にURLを載せておきます。(Three)

http://www.cockneyrhymingslang.co.uk