Saying it with flowers
本日のDY(08/14/10付け)の5面に写真付きの記事がありました。その記事のタイトルが以下の通りです。
Saying it with flowers
同紙は二年に一度ベルギー(Belgium)の首都ブリュッセル(Brussels)にて開催される恒例イベント「フラワーカーペット」の模様を伝えています。タイトルを直訳すると「花と一緒にそれを言おう」ということですが,字面通りに解釈してもうまく意味がとれません。
辞書で調べてみると,これはセットフレーズで「思う心を花に託しなさい(▶花屋の宣伝文句)」と明記されていました(『スーパーアンカー英和辞典』第4版,学研教育出版)。意味の大意が理解できても,それが花屋の宣伝文句であるということは見当もつきません。現にインターネットで“say it with flowers”と打ち込んで検索(google)すると,かなりの数のページが引っかかりました。改めて日本に住んでいるとこのような言葉の背後にある文化的知識面が乏しくなってしまうので気をつけたいと痛感いたしました。
蛇足ですが,タイトル内にあるitは「漠然とした人・事象」を表すitとなります。安井稔(1996)『改訂版英文法総覧』(開拓社)によると,このようなitは「いわゆる環境の‘it’で,漠然とした環境,または不定のものをさすが,それが何を表すかは,文脈またはそのときの状況から判断するしかない。」と書かれています。よってこの‘it’は使う人が文脈に従って‘it’の指す内容を決めなければなりません。恋人に渡すバラであればその‘it’は情熱の愛を指すかもしれませんし,お墓に添える菊であればその‘it’は亡き人を悼む悲しみかもしれません。
最近では,わざわざ花屋で花を買って自分の気持ちを花に代弁させることはドラマを除いて珍しくなってしまいました。しかし,それでも可憐な花は常に何か(it)を語りかけているような気がします。(ゼミ生 camel)