常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

役者が違う

今回はある日本語を英語ではどう表現するのか考えていきます。以下の文は,電車内で耳にした会話の一部です。
「結局あの人と俺とじゃ役者が違うんだよ。」

注目するのは,「役者が違う」という日本語。意味は「役者が一枚上」と同じ表現で「(劇場表の看板や番付で,上位の役者から順に名前が掲げられていたことから)知略・駆け引きなどにおいて,抜きんでている事。」とあります(『広辞苑』第6版,岩波書店)。さて,英語ではどう表現したらいいのでしょうか。和英辞典を引いてみますと以下の表現が記載されていました。
The manager is not match for [is outclassed by] the president as far as business tactics are concerned. 《慣用表現》「駆け引きでは,部長と社長じゃ役者が違う」
               (『スーパー・アンカー和英辞典』第2版,学習研究社

「役者が違う」をis not match for と is outclassed byで表現しています。matchは「〈人・物・事が〉…と一致する」,outclassedは「〈人・物が〉…よりも優れている,高級である」を意味します(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。日本語特有の表現を英語にする時は尚更ですが,まずは日本語を他の(分かりやすい)日本語に置き換える作業が必要となります。英語の知識を増やすと同時に日本語の知識も増やしていきたいと思います。(ゼミ生 gacha)