常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

From my cold, dead hands

また1つ新しい表現に出会いました。

本日午後のOral Communicationクラスにて、table discussionのトピック決めを行っていたところ、gun controlがありました。それに関連して先生が続けて仰られたのは “I’ll give you my gun when you take it from my cold dead hands” という一文で、from以下を頭の中で直ぐに訳そうと試みても「冷たく活気のない手」くらいしか思い浮かびませんでした。どんな意味になるのか確認していきたいと思います。

辞書的意味では、deadの意義の1つである「全くの、絶対的な」が変更不可能なある状態のことを示すため、dead handsは強調表現であると窺えます。

残念ながら手持ちの辞書には全体としての記載が無かったのですが、the free dictionaryによれば 、“ “from my cold” is a phrase used to indicate that someone is unwilling to give something up (thus the item would need to be pried from one’s “cold, dead hands”). The phrase gained popularity after Charlton Heston used it in a speech in support of the National Rifle Association.” とあります。この時点では「あることに対して諦める行為、放棄することをしない人」という訳が当てはまりそうです。

また、過去の出来事に振り返って少し掘り下げると、1989年にカリフォルニアのとある小学校で発生した銃撃事件の後、アメリカ出身のチャールストン・ヘストン(俳優、社会運動家、NRAの元会長)は全米ライフル協会での演説中にこのフレーズを用い、以降格言として広まりました。しかし重要なのは、当時のCharlton氏のスタンスは主に銃規制への反対を主張し、保持を提言していたということです。武装する権利を擁護していた彼の、銃を手放す行為は断固として認めないというニュアンスが込められた言葉が “from my cold, dead hands” であったと思われます。

まとめますと、このフレーズは確固たる意を含んだ上での「手放さない」という解釈になると考えられます。つまり、上記の一文 I’ll give~ も逆を言えば「私から銃を取れるものなら取ってみろ」という意味になるのではないでしょうか。cf. over my dead body

今回のフレーズのように、歴史的事実に基づくものは知らなければin-depthな理解ができません。日頃見聞きする単語からもその背景を探り、もっともっと知識を身につけなければと痛感させてくれる良い機会になりました。(bro-taro-world @ Calgary)

http://www.thisdayinquotes.com/2010/05/from-my-cold-dead-hands-charlton.html

https://www.youtube.com/watch?v=5ju4Gla2odw