常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Copy that.

Steven Spielberg監督の映画『Terminal』(2004)より表現を拾います。

この映画は空港を舞台にしており、JFK空港の国境警備局主任のフランク・ディクソンと、その部下の警備員レイ・サーマンが空港の監視カメラをチェックしているシーンから始まります。

そこでフランクは怪しいグループを発見します。サーマンは無線通信で現場近くにいる部下に指示を送っています。

(無線機を使いながら)
THURMAN: Stand by. He’s fishing.
MAN(無線先の部下): Copy that.

FRANK: See this bunch of Mickey Mouse sweatshirts?
THURMAN: That’s the tour from China, connecting to Orlando.
FRANK: When was the last time you saw Chinese tourists on their way to Disney World without any cameras?
(無線機を使いながら)
THURMAN: Possible forged documents on 10 and 11.

対話の中で気になったのはサーマンが無線通信で部下に指示をした際の、無線先から聞こえたフレーズ“Copy that.”です。
「複製する、まねをする」でよく知られた“copy”ですが、『英辞郎on the web』には「はっきり理解する、(よく聞こえる)」とも載っていました。したがって“Copy that.”は「よく聞こえて理解できました。」「仰せの通りにします。」から転じ、「了解。」という意味になります。
以前『Zero Gravity』(2013)を観たときにも何度か耳にしました。どうやら無線通信の際よく使われるようです。

また、「了解」と言えば真っ先に“Roger.”が浮かびますが、同じ「了解」を意味する語をほかにも調べてみると“Wilco.” や“Ten four.”などもありました。“Wilco.”は “I will comply.”「従います」の省略形だそうで、“Ten four.”は無線通信のコードで「了解」を意味するのだそうです。いずれも無線用語ではありますが、一般でも使われているとWEB上で散見しました。
また、“Roger Wilco”と「了解」を人名のように言うこともあるようで、英辞郎ではこれを「合点承知の助」と訳していました。
“Copy that.”と一緒にぜひこれらの類義語も覚えておきたいです。(Ebina)