in your philosophy
すこし前に書いていたものをアップするのを忘れていました。
テレビ朝日開局55周年記念 元日スペシャル 第10話「ボマー〜狙撃容疑者特命係・甲斐享を射殺せよ!」をビデオで観ました。今回はシェイクスピアの有名なセリフがstory grammarの一部に使われていました。それが:
「天と地の間には君の哲学では思いもよらぬ出来事がまだまだあるんだ。」(杉下右京、冒頭部分)
「天と地の間には君の哲学では思いもよらない出来事がまだまだあるんだ。」(甲斐亨、終了部分)
です。これはハムレットが盟友 ホレイショーにつぶやくセリフで、その中の「君の哲学」は学者の間ではつとに有名な誤訳といわれる部分。
原文は:
HORATIO : O day and night, but this is wondrous strange!
HAMLET: And therefore as a stranger give it welcome. There are more things in heaven and earth, Horatio, Than are dreamt of in your philosophy.
です。ここからも分かりそうなものですが、yourはまちがいなく、ホレイショーを指しているのではなく、一般を指す代名詞。「人間の考える哲学なんか(に)」といった位の意味合い(若干の非難を含意)であることはハムレットのstoryそのものからも明らかです。
もっともこれは外山滋比古先生もずいぶんと前に『ホレイショーの哲学』(研究社出版)というエッセイで指摘されていることで、門外漢のわたしなんどが目くじらをたてることではないのですが、さすがの相棒も今回ばかりは台本の「ねり」が足りていなかったなぁと、放送から1週間以上も遅れて思った次第です。(UG)