常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

教育実習報告#4

5月27日〜6月14日の3週間、神奈川県にある母校の高等学校にて教育実習をさせて頂きました。そこで1年生のコミュニケーション英語Iの授業を担当させて頂きました。

<大変だったこと、工夫したこと>

私は、65分間の授業を英語で行うこと、授業のリズム、生徒に指示をだすことの3点に大変苦戦しました。1つ目に65分間英語で授業をすることです。私の指導教官の方は日本語をほとんど用いず授業をなさっていたので、私自身も英語で授業を進めました。しかし思うように生徒に伝わらないこと、ペアワークの発表の際うまく生徒の意見、発言を拾えないことがあり私自身の英語力のなさを痛感しました。2つ目に授業のリズムです。授業のリズムが一定になってしまい、指導教官の方からスピードをあげるようご指摘いただくことがありました。特に精読の部分では生徒が受け身の授業になってしまいがちで、もっとスピーディーにできないかと悩みました。3つ目に生徒への指示だしについてです。普段の授業でよく使用する表現についてはすぐに反応がありましたが、普段と異なる指示、ワークがでると「次、どこやるの?何やるの?」といった反応になってしまうことがありました。

そこでこの3点を改善すべく以下の工夫を行いました。
1つ目に65分間英語の授業を行うにあたり、授業65分間話す英語を全て考えること、机間巡視をすること、ピクチャーカードを効果的に使用するように心がけました。発問、説明が伝わらないということを避けるため、分かりやすく、なるべく短い英語を話すようにしました。また、生徒が発表した際にインタラクションができるよう、机間巡視をした際によい意見をあらかじめ拾っておくようにしました。さらに、ピクチャーカードを提示し、理解を促しました。例えば教科書の「写真を撮ることが好きか。その理由は何か。」という質問で私の例を提示する際に、私がイギリスで撮った写真を見せ生徒の興味、関心をひきつけながら英語で話しました。
 2つ目に授業のリズムに気を付け精読の部分をなるべくスピーディーにすべく板書、発問の工夫を行いました。板書に時間がかかってしまっていたので、あらかじめマグネットですぐに貼れるようなカードを作って説明しました。また、単語の言い換えなど簡単な発問をするように心がけ、生徒から反応してもらえるような精読にしました。
 3つ目に生徒への指示だしについてです。生徒に指示がうまく伝わるように教室英語を徹底的に使用し、必ず2回以上繰り返すようにしました。また指示をする前には、生徒がしっかりと聞けるように”Listen!”や”Be quiet!”などと言ってから指示をしました。さらに「これから3つのことをやってください。1番に…2番目に…3番目に…」とスモールステップで指示を出すように工夫しました。

<研究授業について>

 実習の最終週に1年生の授業で研究授業をさせて頂きました。授業実習の初日に英語が好きか、またその理由についてアンケートを実施しました。その結果、研究授業のクラスでは、半分の生徒は英語が好きと回答し、嫌いな生徒も話すのは好きという生徒が多かったので、この結果を踏まえ研究授業では、生徒が主体的に活動する場、英語を話す場を与え英語に関心をもつことができるよう学習指導案を作成しました。

 授業の目標は(1)新出単語と過去完了形について理解する。(2)本文の内容を理解する。(3)本文の内容から人生を変えた経験、忘れられない思い出について自分の意見、考えを書き、話し、ペアワークで相手の考えを聞く。の3点に焦点を当てました。その中で自分の課題を改善すべく、導入ではピクチャーカードを使用し「これは何ですか。」など簡単な発問をすることで生徒とのインタラクションを大切にしました。また、フラッシュカードなどを用いてスピーディーな授業を心がけました。さらに指示の際には2回3回繰り返したり、ポイントを板書したりしました。

その結果、反省会では指導教官、英語科の先生方から過去完了形の説明でカードを黒板に貼るなど説明に工夫があり分かりやすかった、生徒を褒める英語が使用されており生徒が自信を持って発言すことにつながっている、教材研究がよくなされているといったお言葉を頂くことができました。

 それと同時に反省点もあります。まず、1時限目、雨天時の授業であったため生徒が眠そうで、いつもより元気がなかったりしました。私から大きな声を出すように心がけましたが、伸びをしてみるや、クラス全員に大きな声を出してもらうなどの工夫をしてすぐにクラスの雰囲気を変えることができたらよかったと思います。また、指名についても反省です。私自身が緊張してしまい、声が小さい生徒にもう一度言ってもらうことや、発言する生徒から距離を置いてクラス全員が発言を聞けるようにすること、指名した生徒へのフィードバックがうまくできていませんでした。生徒が発言してくれたものをクラスに還元すること、フィードバックを与えることは英語学習において非常に大切なことであると思うので、緊張していても自然にできるようにまだまだ練習が足りていなかったと反省しました。私の緊張は生徒にもすぐに伝わってしまいます。いつもと異なる教室の様子に生徒も緊張してしまっていたので、クラス全体が本来の活発な雰囲気になるまで時間がかかってしまいました。

 3週間の成果をだせた研究授業をなったと同時に、今後の新たな課題、改善点を見つけることができました。

<3週間を通して>

 3週間長いようであっという間の日々でした。もっとも強く感じたのは教員の前には常に生徒がいる、教員の仕事の先には常に生徒がいるのだということです。学校は教員が一方的に話している場ではありません。生徒の反応、理解、生徒との会話があってはじめて授業となります。どんなに授業を考え、準備し、練習しても思ったような反応が得られなかったり、予想していなかった場面で生徒が興味を示してくれたりといったことが多々ありました。教員は様々な場面、反応を考えながら授業を考えることが必要であると同時に、その場その場の出来事に対応できる柔軟な行動力が必要であると感じました。

 また、つたない私の授業を真剣に聞いてくれる生徒のために私に何ができるのかを常に考える日々でした。生徒から英語について、高校時代の悩みなどについて質問を受け、生徒に教える、導く立場にある教員は、知識において生徒に尊敬される存在であると同時に、人間としても尊敬される存在でいなければならないと思いました。そのためには勉強、そして経験を積むことが必要だと思います。教員として自分自身が英語学習者であり続け、人としてもたくさんの経験を積むことが求められているのだと感じました。

 3週間、大変なこともありましたが、指導教官の方や大学の先生に支えられ、そして何より目をきらきらさせながら部活動、体育祭に取り組み、授業で積極的に発言しようとしてくれる生徒のおかげで生涯忘れられない経験をすることができました。この経験から学んだことを今後に活かしていきたいと思います。(M)