常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

どうせ あちらには 手ぶらで行く

田邉先生は新聞や雑誌,インターネットなどから常に新しい情報を取り入れられています。本日,研究室でお読みになられていた雑誌の中に,小説家の城山三郎さんを採り上げた頁がありました。
             
今回は城山三郎さん著書のタイトル,“どうせ あちらには 手ぶらで行く”をどう英訳するか,というのが田邉先生からの問題です。(ちなみにここでの“あちら”は“天国,あの世”を指しています。)
短い言葉ではありますが,直訳しようとすると,どうも原文よりも長くなってしまいがちです。なかなかピタッとくる英訳ができない私たちに,先生が一つ表現を教えてくださいました。
You can’t take it with you.
これは聖書から来た言葉で,「金や物はあの世まで持って行けない」という意味があります(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。シンプルですが,すっと心に落ちてくる表現です。また,この表現はJean Arthur,James Stewart,Lionel Barrymoreなどが出演した映画のタイトル;“You Can’t Take It with You.”としても使用されています。いくら簡単な単語の並びでも,1つの表現としてinputされていなければ,outputすることはできません。今回,この表現をきっかけにinputの重要性を再確認しました。(gacha)

“You Can’t Take It with You.”(http://www.imdb.com/title/tt0030993/