常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

The joke’s on us

DY(7/30)のDY WEEKEND(12面)にあったベルギーとフランスによる合作映画「ルンバ」(Rumba)について評論の見出しから英語表現を拾います。
Black humor? Absolutely. Or maybe the joke’s on us
まず,この映画のストーリーですが,ベルギーの田舎町で暮らす小学校教師の夫妻DomとFionaの趣味はダンス。休日には踊りに出かけるなど,幸せな人生を送っていました。しかしある日,ダンス競技会で優勝した帰りに自殺願望の男を避けようとして大けがをしてしまいます。Domは記憶を,Fionaは左足をそれぞれ失い,幸せだった生活も一変してしまいます。
さて,見出しに戻りますが,the joke’s on usはどういう意味でしょうか。Rumba is a hilarious and heartwarming comedy.とあるように,一応この映画の分類はcomedyです。しかし,The movie is filled with scenes designed to challenge and test audience morality. Watching Rumba, you may find yourself asking—again and again—“Am I supposed to laugh at this?”という文からもわかるように,そのjokeは単なるcomedyのそれとは一線を画します。
そこで辞書で調べてみると,『リーダーズ英和辞典』(第2版,研究社)にThe joke is on me.(その冗談はわたしにあてつけたものだ)という表現がありました。これは以前,田邉先生に教えていただいた「不利益のon」です。この他にもThe canary died on me this morning.(⦅飼っていた⦆カナリアにけさ死なれた)のような例文があります(同上)。見出しも「観客に倫理観を繰り返し問う,当て付けのような冗談」となります。(院生 小山本)