常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

NEVER NEVER NEVER SURRENDER

今回は,『覚悟のすすめ』(金本知憲著,角川書店)で出会った英語表現を紹介します。
この本には,連続フルイニング出場の世界記録を更新し続けていた阪神タイガースの外野手である金本知憲選手の野球人生が描かれています(記録はつい先日1492試合で途切れてしまいました)。著書では,努力する大切さ・チームプレー・感謝の心・リーダーシップなどいろいろなことについて書かれていますが,その中でこのような英語表現を目にしました。
NEVER, NEVER, NEVER SURRENDER
これは今から遡ること6年前の2004年シーズンのこと。その年から阪神の監督に就任した星野仙一監督が掲げたチームスローガンです。
注目したいのがsurrender。ここでは「あきらめるな!」というスローガンに相当する英語でしょう(結構,cmなどで耳にしました)。そうすると,まず頭をよぎるのはnever give upでしょう。では,なぜここであえてsurrenderが使われているのでしょうか。『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)によると,never give up「将来にわたって継続的にあきらめるなという意で現在に焦点を当てる場合には用いない」とあります。一方,surrenderは〈希望など〉を放棄する,捨てるという意味になり(『ジーニアス英和辞典』同上),さらにLDOCEにはto say officially that you want to stop fighting, because you realize that you cannot winと定義づけられています。ここから当時の星野タイガースの「プロならば自分から試合を投げるな!ファンのためにも仕事(野球)を全うしよう!!」というプロ根性がsurrenderから読み取れます。
英語教師は生徒から「英語のことなら何でも知っている」と思われます。なので,英語教師(なりたい者も含む)にとって英語力向上はmustでしょう。しかし,忙しさにかまけて英語学習という英語との格闘からsurrenderしてしまいがちです。そのようにならないよう今を必死に生きようと「覚悟」を決めた5月の始まりでした。(ゼミ生persimmon柿生)