常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

a thorn in the flesh/ sideの引用元

以前、ブログで2回thorn in the side ofという表現が登場しました。執筆者が、聖書に関係する言葉というものを匂わせたものの、誰も言及していなかったので、代わりに引用箇所を明らかにして、意味を探ってみたいと思います。

thorn in the side (flesh)は、おそらく『コリント人の第二の手紙』からの引用でしょう。さっそくKing James Versionを見てみます。

And lest I should be exalted above measure through the abundance of the revelations, there was given to me a thorn in the flesh, the messenger of Satan to buffet me, lest I should be exalted above measure. (The Second Epistle of Paul The Apostle to the Corinthians, 12:7, emphasis added)
そして、わたしは、啓示の数々の素晴らしさに賛美せざるを得ませんでした。そこで、わたしは肉体にひとつのとげを与えられました、それはわたしが高ぶらないよう、わたしを打つための、サタンの使いなのです。(『コリント人の第二の手紙』第12章7節、強調・訳筆者)

ここで明らかなのは、a thorn in the sideは、少なくともジェイムズ2世の時代は、a thorn in the fleshであったことです。現代の英語に還元すると、どちらでも意味は通るように思えますが、これについては詳しい調査が必要です。さらに、「肉体に刺さったとげ」という意味合いから「耐えられない苦痛の種」という意味になったことも「サタンの使い」という言葉から容易にわかります。

以上を踏まえて、ニュースの記事を読んでみますと、“a thorn in the flesh/ side(肉体に刺さったひとつのトゲ)”という言葉の意味が前景化し、「サタンの使い」ということももっとわかるように思えます。(Othello)

cf. http://d.hatena.ne.jp/A30/20111219/1324265326
http://d.hatena.ne.jp/A30/20111228/1325062598