常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fill the void

大相撲秋場所13日目。今場所で大関昇進を目指す関脇の琴奨菊は,大関日馬富士と対戦しました。以下はJT. online(09/24/11付)の記事より抜粋。
Kotoshogiku is hoping to fill the void left by Kaio, who was the last remaining Japanese ozeki before he hung up his mawashi at the Nagoya Basho in July.
今回の表現はfill the voidです。名詞のvoidには「空間,虚空,空虚」という意味がありますが,この他にも「(地位などの)欠員,あき」などの意味でも使われます(『ウィズダム英和辞典』第2版,三省堂)。fill the voidでは後者の意味が当てはまり,全体で「(欠員が生じた地位などの)穴を埋める」となります。
同じ意味を持つ表現にfill the vacant postがあります。voidとvacantはどちらも「欠員の」という意味を持ち合わせていますが,LDOCEで語義を見てみると,
void: a situation in which something important or interesting is needed or wanted, but does not exist.
vacant: a job or position in an organization that is vacant is available for someone to start doing.
voidの方が地位に対する周囲の関心などの高さが伺えます。日本の国技である大相撲と言えど,今や横綱大関は外国人力士が占めています。唯一の日本人大関だった魁皇が引退した今,ポスト魁皇は日本人力士が勝ち取ってもらいたいものです。この様な思いもvoidには含まれているような気がしました。(gacha)
※ちなみに14日目の取り組みで12勝目を挙げ,直近3場所で33勝という昇進目安をクリア。