常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

skeleton crew

福島第一原子力発電所で,命懸けで任務にあたっている人々がFukushima 50呼ばれ,世界中のメディアから賞賛されています(記事によれば, 50人の1グループに分け,交代制にしているのでFukushima 50と呼ばれており,正確には200人だそうです)。ABC Newsの記事Japan's Fukushima 50: Heroes Who Volunteered to Stay Behind at Japan's Crippled Nuclear Plantsから英語表現を拾います。
There is little information about who actually stayed behind, but nuclear experts say the skeleton crew is likely made up not of managers, but of technicians, men who have the schematics of the plant in their head and can fix pipes and unclog vents.
http://abcnews.go.com/International/fukushima-50-line-defense-japanese-nuclear-complex/story?id=13147746
今回採り上げるのはskeleton crewという表現。skeletonには「骨格;骸骨」という意味の他に「必要最小限のもの, 本質[基本]的な部分」という意味があります(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。また,『研究社 新英和中辞典』(研究社)にはa skeleton staff [crew](最小限度の人員, 基幹定員[乗組員])という表現が載っていました。
以上から,本文のskeleton crewは「放射能への対処に必要な最小限の人員(200人)」と解釈できます。
ちなみに,skeletonの語源は「乾き上がったもの」つまり「ミイラ」を意味するギリシャ語skeletósです(『プログレッシブ英和中辞典』同上)。
最初にFukushima 50と言った人が意識していたかどうかはわかりませんが,この表現を聞いたとき,以前田邉先生に教えていただいた幕末期にロンドン大学へ留学した井上 馨,遠藤謹助,山尾庸三,伊藤博文,井上 勝のChoshu Five(長州五傑)が連想されました。(院生 小山本)