常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

graveが伝えるもの

TelegraphにあったJapan still 'racing against the clock' to prevent nuclear meltdown at Fukushimaという記事から英語表現を拾います。
Yukiya Amano, the director general of the International Atomic Energy Agency, said the situation remained “very grave” as workers continued their desperate attempts to spray water onto overheating fuel rods.
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/8391581/Japan-still-racing-against-the-clock-to-prevent-nuclear-meltdown-at-Fukushima.html
今回採り上げるのは国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長の発言の中にあったthe situation remained “very grave”という部分です。
graveというと名詞の「墓」を思い浮かべる人も少ないないと思いますが,形容詞で「〈責任問題などが〉重大な;危険[危機]をはらんだ, 容易ならぬ, ゆゆしい」という意味があります(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。
これまで同じ文脈では「深刻な」という意味のseriousが使われているのを度々目にしましたが,ここではveryを伴ってgraveが用いられています。では,両者のニュアンスの違いは何でしょうか。
プログレッシブ英和中辞典』(同上)には「憂慮すべき悪い事態という意味では, seriousがもっともふつうで, 一般的な語. graveはそれがもっと深刻で, 特に人身上の危険が伴っているとか, 好転の見込みなしという意味合いを含むことがある」という解説がありました。
よって,天野事務局長の発言からも福島第一原子力発電所の状態が非常に深刻な域に達していることが伺えます。(院生 小山本)