常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

face the music

「gaffe of the century」の続きです。選挙活動の最中,撮影用の小型マイクを外し忘れ,支持者との面会を”disaster”(災難),支持者を”bigoted woman”(偏屈な女)とののしった声を全世界に流してしまったイギリスのBrown首相。そんな首相の”disastrous”な一日をchart形式で追ったMail Online(http://www.dailymail.co.uk/news/election/article-1269486/Election-2010-Gordon-Browns-bigoted-woman-insult-Gillian-Duffy.html)の記事の一部から引用です。


Time to face the music: Mr Brown - by now aware of his disastrous gaffe - appears on Jeremy Vine's Radio 2 show. In the depths of despair, he puts his head in his hand as his words are played back to him
まず,face the musicで「自分の招いた難局に進んで当たる,甘んじて報いをうける」という意味があります(『リーダーズ英和辞典 第2版』研究社)(この表現の由来には諸説あるけど,確かHamlet,いやMacbethだったかな,どこかに出ていた。—by UG)。写真のブラウン首相はラジオ集録のためにヘッドホンをつけているのですが,音楽を聴いているようにも見え,記者のちょっとした遊び心を垣間みることができます。
gaffeは「失敗,失策,失態,へま」という意味でフランス語からきたものです(『リーダーズ英和辞典 第2版』研究社)。また,似たような意味でslur「中傷,非難,侮辱,(名声の)きず,汚点」という単語もよく使われます(『リーダーズ英和辞典 第2版』研究社)。
in the depths of despair「絶望の淵に沈んで」の他に,in the depths of one’s heart「心の底で」,in the depths of winter「冬の最中に」など,in the depths of~は用法が多様な表現ですので是非押さえておきたいところ(『リーダーズ英和辞典 第2版』研究社)。
2大政党制の時代が幕を閉じ,3つ巴(three-sided)の選挙戦が展開さられています。果たして勝つのはどの党なのか?ブラウン首相率いる与党の労働党の運命は?選挙の行方から目が離せません。
それにしても,ちょっとした失言や言い間違いが命取りになるなんて,「ことば」って怖いですね。(院生 小山本)