常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

グリルの焼き具合

4/28の「Merit考」のsequelです。民主党内で小沢氏を巡る支持,不支持の運動を伝える記事の見出しです(The DAILY YOMIURI 2010年4月29日付)。

Prosecutors may re-grill Ozawa, but have little hope

ここで注目するのはre-grillという表現。皆さんはgrillと聞くと何を思い浮かべますでしょうか。私はまず肉や魚を焼くグリルを思い浮かべます。実際にgrillを『ジーニアス英和辞典』(第4版, 大修館書店)で調べてみますと,名詞で「網焼き料理」と書かれています。

ただし,今回の見出しでgrillは,「再び」を意味する接頭辞’re-‘をともなって動詞として使われています。そこで,grillを引いてみますと,「(略式)〈警察などが〉…を厳しく(ぶっ通しで)詰問する,〈人に〉[…について]尋問する」とありました。「尋問する」を英語を考えると,他にもquestion,examine,interrogate(”to ask sb a lot of questions over a long period of time, especially in an aggressive way”—LDOCE )などを思い起こします。ですが,なかなか口を割らず,しっぽを出さない相手に対して,「じりじり」と追い詰めていく場合にはこのgrillがしっくりきます。
日本語で考えてしまうと「尋問する」の一言でしまうところを,英語では時と場合に応じた表現が選択される。そうしたことまで考えながら,言葉を自分の中にはらむ(田邉祐司先生の表現)。それが英語上達のための欠かせざる段階なのですね。(by gacha)