常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

thin-slicing

一瞬で他人の行動を評価してしまうこと、俗に言う「第一印象」は、人間にとって良い作用もしくは悪い作用のどちらをもたらすのでしょうか。

今回紹介するのはthin-slicingです。先日、語学研修の先生がthin-slicingというワードを仰っていました。授業内で意味や由来等を確認する余裕がなかったため、後に調べてみることにしました。

当然ながら「薄いスライス」とはなりません。推測として、thinに「(比喩的)浅薄な」という意義を連想し、slicingを「切る」と解釈すると「見切る、見捨てる」との訳になると考えました。実際はどのような意味になるのでしょうか。

手持ちの辞書『スーパーアンカー英和辞典』(第五版、学研プラス)には記載がなく、先にネットでの検索を試みたところ、“Thin-slicing is a term used to mean taking quick decisions on the basis of limited information. It can be alluded to thinking that in all probability occurs in a ‘blink’. For example, when you walk into a shop to buy a dress, or you meet a person the first time, or see the initial scene of a film, it takes your mind about two seconds to form a judgement or arrive at a number of conclusions.” と定義されていました。(innovateus.net)上記の例にもあるように、ほんの少しの間にあらゆる決断や結論に至ることなのですね。ちなみに、このthin-slicingは心理学や哲学において使われ、1993年の「Journal of Personality and Social Psychology」誌の中で、ハーバード大学のNalini Ambady とRobert Rosenthal博士の2人が初めて用いた言葉であるそうです。

cf. https://www.youtube.com/watch?v=ygAsRH2Xt9I1.

自分自身、何事も即座に判断を下し行動する性格ではないものの、時折そういった行為をすることで物事が円滑に進むこともあります。人間の根底にあるものを取り除くのは難しいですが、私の自答としては、「第一印象」に基づいた振る舞いそのものは人との関わりに支障をきたす結果を招き、悪い作用として働くのも否定はできないと考えています。(bro-taro-world @ Calgary)