常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問回答:prevent the train striking the man

UG先生からご指名質問を頂きました。お題は次の赤字の解説および生徒にどのように指導するのかについてです。確かに先生のご指摘とおり、学校教育ではprevent n from〜 ingのかたちで習います。それでは、解説をしてみたいと思います。

Meanwhile, in Wednesday night’s incident at Shinjuku Station, the man jumped off the platform on the Chuo Line just after 10 p.m., TV Asahi reported. The driver of the train said he saw the man jump and applied the emergency brake but it was too late to prevent the train striking the man .

なにも意識せずに読むと、このprevent the train striking the manは、fromがあってもなくても「電車をその男にぶつからないようにした」という意味になります。しかし、fromが省略されることで、ニュアンスが変わるのです。『ジーニアス英和辞典』で確認してみると、次の例文と共に解説されていました。

I prevent her (from) going.
fromを省略すると彼女が行くのを直接妨害したという感じ、fromがあると説得などをして行かせなかったというニュアンスがある。

今回のprevent the train striking the manは、「駅員が緊急停止ボタンを押した」ことで直接的な妨害をしたことがわかります。だからfromが省略されているのです。

またpreventは、stopという動詞も同じようにfromが省略されるか否かで意味合いが変わります。例えばI stopped him from drinking は、これからする動作について止める場合に使います。一方でI stopped him drinkingは、現在進行中の動作を止める場合に用います。

意識をしないで読んだだけでは、一見違いがないように見えますが、fromの有無によってことほど左様に意味が違うのですね。確認をするとprevent the train striking the manは駅員が緊急停止ボタンを押して直接自殺を食い止めると言うニュアンスと、まさに電車がぶつかりそうな感じ。一方でprevent the train from striking the manは駅員や周りの人が説得して、これから飛び降りようとしている男の自殺を食い止めようとするイメージです。

おそらく生徒(ここでは高校生)にとってpreventはイメージしにくい単語だと思うので、まずはstopの例を挙げたいと思います。最初に教師が演じ、生徒に違いを考えさせます。次に生徒に違いについて答えさせ、辞書で意味を確認した後、preventの例に移るという方法を取ります。(Othello)