常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ツケを回す(指名質問回答編)

「ツケを回す」とは英語で何というか?という質問をGP君にいただきました。「和文和訳」をやって考えてみましょう。ここで読んでいる方々にお願いなのですが、わたしは和文英訳が上手ではありません。もし、おかしな表現があったら、コメントにて注意していただくと幸いでございます。

まず、「ツケを回す」という日本語の意味を考えてみると、以下を挙げることができます。
1.補償させる 2.尻拭いをさせる→責任を負わせる→責任転嫁をする

さて1.に対して、すぐに思い出すのは、make someone compensate TEPCO’s lossです。英語として正しいのかは、わかりません。使役のmakeを使っていますが、これですと、「本当は払いたくない」という我々国民の気持ちが反映しきれないようにも思えます。

続いて2の「責任を負わせる」という意味で考えてみると、shift the blameがパッと浮かびます。LDOCEを見てみるとshift the blame/ responsibility (onto somebody)のかたちで載っています。定義を見てみると “to make someone else responsible for something, especially for something bad that has happened”とあります。なんだか良さそうです。

借文ノートを見てみると、リタ・ヘイワースでお馴染みのput the blame on someoneがありました。LDOCEの例文を見てみると「責任転嫁」するニュアンスを読み取れます。
She stole the money but she's trying to put the blame on me.

同じくpin the blame onという表現もあります。LDOCEの定義では次のようになっていま “to blame someone for something, often unfairly” 強調したunfairlyという意味合いがよさそうです。

確かscapegoatという表現もあります。これも良さそう!make someone a scapegoatの形で「(someoneに)責任転嫁をする」という意味があります。ただ、今回のことには使えなさそうです。

さて、「ツケ」が回ってくる側のことを考えて、「責任を負わされる」という表現について、俗な表現ならば、carry the canになるでしょう。定義としては、今回のできごとにピッタリなのですが、イギリス英語のスラングなので普段の会話ならOKでしょう。to be the person who has to take the blame for something even if it was not their fault, or not their fault alone(LDOCE)
「責任を負う」という意味では、ほかにもget blamed/ get the blame, take the rap, take the fall(米語)などの言い方もあるようです。


続いて「尻拭いをする」という意味で考えると、clean up TEPCO’s messという表現を連想させます。このmessにいろいろな気持ちを込めることもできそうです。一方で、「払う」というニュアンスが消されるような気がしますし、当分clean upできそうにもありません。(Othello)