常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

フィートとフット

日本と英語圏では様々な面において違いがありますが,長さを表す単位はその一つです。日本ではcmやmといったメートル法が主流ですが,英語圏ではインチ,フィート,ヤード,マイルなどのヤード法が使われています。今回はその中のフィートに焦点を当ててみましょう。
まず,このフィートがどのくらいの長さを表すのかを簡単に確認します。
                                 日本語表記 英語表記 長さ
                                 1フィート 1 foot 30.48cm
                                 2フィート 2 feet 60.96cm
                                 3フィート 3 feet 91.44cm

ここで注目するのが,30.48cmを表すときに日本語表記と英語のそれとでは微妙に違うということです。英語では1は複数でないので,当然feet(複数形)ではなく,foot(単数形)となります。しかし,日本語表記は1でも関係なくフィートと綴っています。
そもそもfootは「足」という意味で,そこから足一つ分の長さは1 foot,足二つ分の長さは2 feetとなりました。したがって日本語においても1フット,2フィートとすべきなのですが,「フット」という日本語に長さを表すような意味はありません(『広辞苑』第5版,岩波書店)。ここから,この単位はどこかで間違って日本に伝来してきたのだと考えられます。
何気なく使っている表現のなかから,発見は生まれるのですね。(persimmon柿生)