常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

make a long nose at

本日の英米の演劇についての授業で、W・サマセット・モームの『故国と美女』の舞台と原作についての講義を受けました。

第一次世界大戦直後のイギリスで、美しいヴィクトリアは夫フレデリックと暮らしていましたが、戦死したはずの、前の夫でフレデリックの親友であるウィリアムが戻ってきて、さらに成金のレスター・ペイトンと三度目の結婚をヴィクトリアはたくらんでいて…というあらすじです。

今回気になったのはmake a long nose atです。

この表現は原作の第二幕で、ヴィクトリアが二人の夫にレスターペイトンの存在をほのめかすシーンの最後にト書きで“She makes a long nose at them and goes out.”と書かれています。

ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)をひくと「(略式)人をばかにした格好をする(人に向かって親指を鼻先につけ他の指を左右に振ってみせる)」とありました。

授業で扱われた、『夫がおおすぎて』(海保眞夫訳、岩波書店)の翻訳では「ヴィクトリアは二人にあかんべえをして出ていく」と訳されています。

なぜ、long noseを使うのか気になり、「あかんべ」を『ウィズダム和英辞典』(三省堂)で確認しましたが、「(説明的に)pull down one’s lower eyelid」とあり、理由はわかりませんでした。

しかし、前にゼミで「高い鼻」は“long nose”ということを習ったことを思い出し、「親指を鼻先につける」という動作によって鼻に高さがでることからlong noseがつかわれているのではないかと思いました。(flyingbird)