常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

rags-to-riches and down at heel

今回は,イングランドの雑誌The Spectatorのブック・レビューから英語表現を拾いたいと思います。
In 1977, Roy Kerridge was a lavatory cleaner; in 1979 he was a well-known contributor to The Spectator. Yet this was no rags-to-riches discovery of a literary talent. Apart from anything else Kerridge had perfected a line in second-hand clothes — a short sheepskin coat, a brown Dunn’s suit, pastel shirts — that fitted his own style: out of fashion and down at heel. After a busy decade in the 1980s we began to hear little from Kerridge. Had his star burnt out?
http://www.spectator.co.uk/books/7156448/low-life-and-high-style.thtml
最初の強調箇所から確認をしましょう。このrags-to-richesとはどんな意味でしょう。これは,いわゆるhyphenatedされた形容詞です。ragは「ぼろ,ぼろきれ」がto(向かう; 〜へ)という前置詞によってriches「財産,富」に繋がれています(以下引用はすべて『リーダーズ英和辞典』研究社)。ですので,rags-to-richesは,「貧しい身から出世した人」(立身出世)という意味になります。本文では,2年で大変身を遂げた彼の物語は,文字を書く才能を見出したことによる立身出世ではない,と紹介しています。
つづいて,down at heelとはどんな意味でしょうか。これは,「〈靴が〉かかとがつぶれて」という,文字どおりの意味から転じて「みすぼらしいなりで,〈服などが〉くたびれて」という意味になります。本文では,流行に遅れていても,彼のスタイルに合った服装,つまり古着という意味になります。
さらに,最後のstarは,「運勢」や「星まわり」という意味です。ちなみに,星と運命の関係は,シェイクスピアの時代でも,たいへん重要視されていたようです。星占いや魔術という,科学では観測できない不思議な力は,いつでも人の興味の的にありました。今でも星占いなどが持てはやされていますが,当時はもっと深刻だったようです。これについては,他に詳しい人がいますので,多くは述べませんが,調べてみると大変興味深いです。
レビューを読んでみると,けっこう面白そうな書籍であるようです。お盆休みは,小説と戯曲ばっかり読んでいたので,たまにはノン・フィクションものも読んでみようかな,と思います。 (Othello)