常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

grow from zero to hero

今日のDY(01/06/11),LIFE IN ASIAにあったSingaporeのThe Strait Timesの記事から単語を採り上げます。記事の見出しはFor PC Rivals, Tablets’ success a bitter pillで,コンピュータの分野におけるnotebookの衰退とそれに伴うtablet全盛時代の幕開けを報じています。
Ma said the notebooks’ growth in Singapore peaked in 2009, rising from 84,000 units shipped in 2008 to 215,000. However, that number is expected to drop to just 157,000 in 2010.
In comparison, tablet PCs have grown from zero to hero and are expected to hit 3000,000 units in Singapore soon, almost double the number of notebooks for the same year.
今回採り上げるのはgrow from zero to heroという部分。意味は文脈からある程度予想できるかもしれませんが,ここでのzeroとheroは比喩で用いられています。
辞書で調べてみるとzeroには「ゼロ」の他に「影響力・重要性のない人物」という意味があります(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。よって,今回は「影響力の低い物」や「注目度の低い物」と解釈できます。
また,heroは日本語の「ヒーロー」から「英雄」や「あこがれの的」などの意味で押さえている人も多いかもしれません。しかし,『スーパーアンカー英和辞典』(第2版,学研教育出版)には「日本人は「ヒーロー」ということばから,プロスポーツ界の有名選手を連想することが多く,この点は英語のheroでも同様であるが,英語には「ビジネスでの成功者」の連想も強い」という解説がありました。今回のheroにはまさにこのニュアンスが含まれているのではないでしょうか。
以上から,grow from zero to heroは「最初はほとんど注目されていなかったが,大ヒット商品へと成長した」という意味になると考えられます。(院生 小山本)