常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問:pun very much intended

UG先生からご指名質問を頂きました。お題はpun very much intendedとは何か、です。結論から言えば、「思いっきりダジャレです」と読者に知らせるときに使用します。これはひとまとまりのフレーズとして使われ、反対はNo puns intended.です。

次にpunの説明と記事で使用されるpunについてです。

The star, however, maintains that this is more than just a regular collection of cheeky (pun very much intended) photos and that she had a lot of input and control during its production.


記事で使用されるpunとはいわゆる「地口」のことです。「地口」とは、いわゆる「ダジャレ」を指します。つまり同音異義語を用いたことば遊びと捉えることができます。OEDによると“a play on word”と定義しています。初出は、シェイクスピアと同じく現代の英語を作ったとして名高い劇作家ドライデンの作品で1662年のことです(シェイクスピアは、punという言葉を知らなかったようで、equivocation, jestsなどで「地口」を表していました)。


代表的な地口として挙げられるのが、シェイクスピアの『ソネット集』138番です。男女が嘘を付き合って肉体関係を保つことを歌った詩です。

Therefore I lie with her, and she with me,
And in our faults by lies we flattered be.
(Sonnets 138, 13-14, 強調筆者)


ここでは、lieで「寝る」と「嘘をつく」という同音異義語が掛けられているのがわかるでしょう。つまり、同音異義語を使用することで、聞き手や読み手にウィットに富んだ形式や、皮肉めいた感じ、もしくはユーモアを込めて、メッセージを伝えることができます。例えば、Othelloでは、bloodという言葉が「血」「血統」「欲望」「情欲」など多義的にしようされており、「誰が」「どこで」「誰に」言ったbloodなのかによって、意味合いが異なります。例えば、悪党Iagoは、ムーア人Othelloに対し、bloodという言葉を、あえて多義的に用いることで、Othelloを錯乱させ嫉妬の炎を焚き付けます。


それでは、今回の記事で使用されるpunはどこにあるのか。答えはcheekyにあります。このcheekyには実は「生意気な、いたずらっぽい」という意味の他にも「性的に魅力がある」という意味があり(chikieとも綴られる)、記事では両者の意味がpunになっています。またカリフォルニア州ではそういうセクシーな女の子をChiki-chikiと呼ぶことがあると先生から教えていただきました。名詞cheekには複数形で「尻」という意味にもなることも面白いです。おそらくセクシー女優(テレビ出演時などは、このように表現します)なのですから、こちらの意味も含まれているでしょう。


またpunの例は、以前からブログで扱っているのでこちらもご参照ください。(Othello)
英語の汁物 - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から
Jams tomorrow - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から