常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

purple

今日は,夏季休暇中に読んだオスカー・ワイルドの『真面目が肝心』(The Importance of Being Earnest)から英語表現を拾いたいと思います。
ジョン(ジャック)・ワージングが自身の出生について,ブラックネル卿夫人に説明をしています。そしてジャックは,自分の両親が他界してしまったことを打ち明けます。次の台詞は,それに対する返答です(この後のエディス・エヴァンス演じるブラックネル卿夫人の “A hand-bag?”という台詞は有名です)。
LADY BRACKNELL. Both?. . . That seems like carelessness. Who was your father? He was evidently a man of some wealth. Was he born in what the Radical papers call the purple of commerce, or did he rise from the ranks of the aristocracy?
...
Lady Bracknell. Where did the charitable gentleman who had a first-class ticket for this seaside resort find you?
Jack. [Gravely.] In a hand-bag.
Lady Bracknell. A hand-bag?

                               (Act 1, 524-541)

さて,強調箇所の冠詞が付いたpurpleとはどんな意味でしょうか。色のイメージとして,紫には〈高貴〉な印象を受けます。『リーダーズ英和辞典』(研究社)によりますとthe purpleで「王権,帝位,高位;Royal Family」とあります(加筆筆者)。OEDには,10世紀後半から使われている言葉であると,示されていました。とくに,ここでは,比喩的な意味で使われています。したがって試訳をしてみると「ラジカルな新聞でいう財政のお偉いお方か,貴族のお出の方なんざんすか?」となるでしょう。(Othello)

また色のイメージなどについては,すでにブログでも挙がっていますので,こちらも合わせてご参照ください。
「色」+「顔」 - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から
またとないgolden - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から
gray - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から
エディス・エヴァンスが演じたブラックネル卿夫人の有名な台詞。さまざまなMADも作られています。