常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

感想:『独学者列伝』を読んで

木曜日は学校が終わったら、コンビニで深夜のバイトが次の日の朝7時まであります。今日もバイトを終え、着替えて学校に行く前に机に向かって本を読もうとしていたらいつの間にか寝てしまいました。

急いでA30に行き「もっと自分が金持ちだったら、電車賃をケチって学校に行かなかったり、バイトをしたりしないで良いのに」と優暮れていた自分に、UG先生はある書籍をお貸し下さいました。その書籍に綴られている文字から浮かび上がる先達が環境に負けず行った努力の数々は、きっと涙なしには読めないでしょう。私は、自分や環境に甘えていました。幾度と無くこのブログにて、無知無学を露呈してきていますが、そうやって開き直るのではなく、しっかり勉学の道を歩みたいと思います。

                        
                                    儀同保. (1992). 『独学者列伝』 東京:日本評論社.

本書は、文検、高検、専検の合格者で独学者であった先達の軌跡を綴った人物伝です。著者自身が独学者であるからこそ、起こすことばの力があります。

実社会に出ると、頭が良いぐらいでは通用しない。家柄で一生が決まる身分社会だが、いま以上に学歴がものを言う時代だから、将来人並み以上になろうとすれば、なんとしても学歴である自負心があり将来に夢を抱いた少年たちは、ひたむきに学歴への道を求めた . . . こうして独学を志した者は少ない数ではない。だが、そう簡単にできるものではないことは、初志貫徹した者は何百人に一人に過ぎないという結果に示されている . . . なによりも強い意志、それに健康でなければ果たせない . . . それどころか「百姓に学問はいらない」「いつになったら試験に通るかわからない」と反対される。都会で働く者には、同僚の誘惑や妨害もあり、雇い主もいい顔はしない。それらで動揺した結果やめてしまう。これが多くの独学者の実態であった . . . 職場の始業は午前六時、終業は午後七時半、昼休みは三十分しかなく自室には帰れない。夕飯は就業後で、ほかに入浴、選択などの雑務があり、残業がなくても勉強に二、三時間を当てるのさえむずかしい。 . . . それでも石炭を投げ入れ、次の作業までの間には本を読むことができた。(p. 3-7)

最初に、打たれました。

いかに才能があったとしても、努力なしに目標を達成できたはずはない。また超人的と表現されたとて神業ではない。そのために、ほめ言葉を並べるのではなく、環境、人となりなど、全体像を書きたかった . . . 山田孝雄、峯岸義秋、田中菊雄の諸氏のように、勉学に集中することで悪条件を克服し、それがおのずから才能を発揮する道を開いたという点は見落とさないでほしい。(p. 236)

偉大なる先達に追いつけるかはわかりませんが、少しずつ足跡を追ってみたいと思います。

UG先生ありがとうございました。(Othello)