常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

freshman

ホテル一階のレストランで、ゆっくりと朝食をとっていると、ジャージー姿に身をつつんだ一団が横付けされたバスに乗り込んでいるのに目がいった。初めは大学生の体育会系の連中かと思ったが、よくよく見てみると、どうも違う。
気になると何も手がつかなくなるという悪いくせが出て、箸を置いてしばし推論の森に入った。この朝一番の難問に答えをくれたのは最後に乗り込んだリーダーであった。
彼が着ていたシャツには、「○○銀行 Freshman研修」と大きく書かれていたのである。なるほどこれからどこかで特訓を受けに行く社会人一年生の一団だったのである。
しかし同時に頭をよぎったのが、社会人にFreshmanはないだろうということである(そもそもなぜそれだけ英語がったのかわからない)。英語のfreshmanは、主に米国の1年生(州によっては高校1年の場合もあり)に使われる単語で、社会に出た「新入社員」にはそぐわない。
また、どこやらの紳士服店がcmに使っている「フレッシャー」も「社会人」とはならない。fresherは英国の口語で、これもやはり「大学の新入生」を指す。例のPC運動の影響で、manがいかんという意識から生まれた表現である。ちなみに米国では、さらに短いfroshという言い方も耳にしたことがある。
新入社員、新人社員を英語で表現するなら、newcomerかnew employeeあたりで十分だろう。newly employed personは少し長過ぎるが、正確である。
将来を担う新人社員にこそ正しい英語へのイントロが行われてしかりであるはずだが、そうではないというこうした現実にふれるたびに、英語教育のひずみを実感する。(UG)