常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

明海大通訳コンテスト及び講演会の感想

去る12月18日(土),明海大学主催の通訳コンテストを観覧してきました。
http://d.hatena.ne.jp/A30/searchdiary?of=3&word=%CC%C0%B3%A4
コンテスト後には鶴田知佳子先生(東京外国語大学教授)の講演と,小松達也先生(サイマルインターナショナル顧問)のお話,更には先日私が講演会に行きそびれてしまった山岸勝榮先生(明海大学教授)のお話も聞くことができ,非常に充実した1日となりました。
まず,コンテストの形式及び感想を述べたいと思います。今回のコンテストは,私たちが先月卒業研究の一貫として参加したものとは異なり,他の大学からコンテスタントを募るオープン形式でした。英語話者,日本語話者がそれぞれ2名,通訳者も2名のペアでの参加でし,2名の参加者は基本的に交互に通訳することになっていましたが,パートナーが通訳できない場合や言葉に困った場合はもう片方が助けてあげてもよいという余り聞いたことのないものでした。通訳のテーマは「会社での商談」です。
コンテストを見ていて,参加者のレベルの高さに驚きました。コンテスト終了後に小松先生が「今日の原文はプロ通訳者を対象とした通訳試験レベルの難度で,大学生には難しすぎた。」とおっしゃられていたように,英・日共に原文がものすごく難しかったですが,○○外国語大学を初め参加者の皆さんは持ち前の語学力で上手く訳出をされていました。訳出する早さ,原文の要点を捉えているか,訳出の日本語が聞きやすいかなど,先月の自分の通訳と比較をしたりもして,多くの点で自分の課題を再確認することができました。

次に,鶴田先生の講演の感想です。鶴田先生は,「世界を日本に,日本を世界に」というテーマで,通訳者としての心得や,世界との関り方についてお話してくださいました。お話の中で一番印象に残っていることは,先生がおっしゃった通訳者として知っていないと困ること(アメリカ英語に限る)です。先生は例として,ギリシャ神話・ユダヤ文化・聖書・マザーグースシェークスピア・野球・ポーカーらを挙げられていました。これらの事が日常生活に非常に密接に組み込まれているため,通訳をする際に何の前触れもなく出てくるそうで,もし通訳者を目指すのであれば知っておくべきだと教えてくださいました。聖書や,マザーグースについての知識が必要であるということは知っていましたが,野球やポーカーは意外でした。私も仕事で英語を使いたいと考えているので,足りない教養は今からでも身に付けていこうと思いました。
次に,山岸先生のお話についてです。先生からは,辞書の使い方を,鶴田先生と同じく聖書についての知識をもつことの重要性を交えながら教えてくださいました。例えばsinnerという単語を聞いて多くの人は「罪人」や「悪い人」という言葉を連想するかと思います。しかし,悪いことをしなくても sinnerとなります。聖書によると,sinnerでないのはMother marry,Jesus Christ で,他の人々は皆sinnersであるそうで,従って聖書の知識がないままsinnerを「罪人」や「悪い人」と訳してしまうと,特にキリスト教文化がある地域では,言葉の本質がずれてしまうということを教えてくださいました。先生のお話を聞いて,やはり英米文化の教養をもっと身に付ける必要があると感じました。

最後に,コンテストを見ているとき終始感じていたことは,自分も参加しておくべきだったということです。今回は参加者のレベルの高さに圧倒された場面もありましたが,同時に,頑張れば自分にも到達できるレベルであるとも感じました。参加すれば恥ずかしい思いをするかもしれませんが,それは自分の成長に繋がると思います。私は大学2年次の冬,まだゼミが正式に始まる前でしたが,当時のゼミ内定者らと共に,英語スピーチ大会を頻繁に観覧しにいっていました。(ディベート大会,講演会,学会も含めると毎週の様に出向いていました。)にも関らず,在学中に一度もこのようなイベントに参加しなかったことは心残りです。ゼミの後輩や,これから英語を勉強しようと思っている人には,出来る限りこういったイベントに参加して欲しいです。また,見に行くだけでも勉強になると思うので,時間があるうちに出来る限り足を運ぶべきだと思いました。(ゼミ生 斧)