常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

知のつながる瞬間

今日の2限,小山本がTeaching Assistant(TA)をしているK先生の「アメリカの歴史と文化」という授業での出来事です。ふとしたことがきっかけで,少し前にニュースになった,英国人研究者による気候変動に関するデータ改ざん事件が話題にのぼりました。そしてK先生が“climategate”と黒板に書くと,学生はみな一斉に辞書を引き始めます。しかし,climategateは一般的な学習辞書には載っていません。多くの学生がこの単語を見つけられないようでした。
そんな中,余裕の表情を浮かべる学生が一人。田邉ゼミのLbow Shoulderくんです。彼の顔つきからは「知っている」という自信が明らかに見受けられます。なぜ彼はこの単語の意味を知っていたのでしょうか。
お気づきの方もいると思いますが,彼は,4月30日にアップされた田邉先生のエッセイ「Duffygate」を読んでいたのです。-gateで「スキャンダル, 醜聞」という意味があり(『プログレッシブ英和中辞典』小学館),climategateは「気候にまつわるスキャンダル」という意味になります(訳す場合はそのまま「クライメートゲイト」となることが多いようです)。他にもWatergateなど(と言いますか,これで人口に膾炙するようになったのですね),この-gateという言い回しは英語圏ではお馴染みのもので,田邉先生も「ホント,英語社会は~gateが好きだな...」とエッセイの中で言及されていました。
知のネットワーク構築の瞬間に立ちあいましたが,自分が教壇に立ったとき,こういう場面を自分の生徒に何度も体験してもらいたいと思いました。(院生 小山本)