常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

光陰矢の如し 復習

昨日の裏ゼミにて、UG先生は tempus fugit が「光陰矢の如し」に相当する英語訳であると仰っていました。以下で意味や由来等を確認していきたいと思います。

「光陰矢の如し」と聞いて早速頭に思い浮かんだフレーズはtime fliesです。Weblio英和辞典によると、tempus fugit /ˌtɛmpəs ˈfuːɡɪt/ /ˌtɛmpəs ˈfjuːdʒɪt/ はラテン語の成句で、「時は飛ぶ」となります。同辞書でfugitiveを調べると、第二義では「(比喩的に)消えやすい、一時的な」となっています。

Oxford Dictionariesで語源を引いてみると、ラテン語のtempusは英語のtimeと同義語で、fugereが英語で言う所のflee, flyに匹敵するものであることが分かりました。どちらも同じ意味ですが、「時が経つのは早い」よりも「時間は飛んでいくように過ぎ去ってしまう」という解釈ができ、こちらの方は程度が強いように感じます。さらに掘り下げていくと、元来はウェルギリウスの詩『アエネイス』中の句 “Sed fugit interea fugit, irreparabile tempus” 「されど、その間に時は取り返しがつかないように逃げてしまう」からの由来であるとのことです。(ウィクショナリー日本語版)

また、上記の参照サイトから、ジャズ界でも有名なアーティストBud Powellさんの一曲にTempus fugue-itがあると分かりましたが、何故fugue-itと表記するのでしょうか。『スーパーアンカー英和辞典』(第五版、学研プラス)でfugue /fjuːɡ/ を引くと、いわゆる「フーガ、遁走曲」と記載されてありました。古くからの諺に対して、類似のニュアンスを含む単語を掛け合わせて作られた曲なのですね。(broccoli)cf. yes - tempus fugit, Bud Powell -tempus fugue-it

http://d.hatena.ne.jp/A30/20140306/1394068745

http://d.hatena.ne.jp/A30/20170213/1486940158