常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

hot air #3

 たまたま辞書(『ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)で見かけた“hot-air”という表現が気になったので取り上げさせていただきます。

 直訳すれば「熱気の」となり、「熱気球」も“hot air balloon”となりますが、もう一つの意味として「ほら吹き」があります。
「無駄口をたたく」場合も日本語で「ほらを吹く」というように“speak”ではなく“blow hot air”となります。

 Online Etymology dictionaryによると15世紀後半には“"bellows for an organ," from wind (n.1) + bag (n.)”と言葉通り「オルガンのふいご」を表していましたが、19世紀頃に「ほら吹き」の意味も表すようになったようです。

 また『ブルーワー英語故事成語大辞典』(大修館書店)によると、この“hot air”から“hot-air merchant”という「ほらふき屋」という言葉が生まれ、「大声で年がら年中意味のないことをがなりたてる奴」を指すそうです。

 この言葉を調べている間、小さいときに呼んだ「ほら吹き男爵の冒険」が思い浮かびました。なんとなくでしか覚えていなかったので、インターンネットで調べてみると、18世紀のプロイセン貴族であるミュンヒハウゼン男爵が自身の館に集まった人々に自分の体験談にフィクションを交えて話したものが元となっているそうです。また、ある人がこの話を無断で記録して出版しようとし、男爵は激怒しましたが出版されてしまい、人気になったそうです。しかし、男爵本人は憤慨して死んでしまったそうです。でもこの最期の遂げ方も本当かどうか怪しいところです…。(flying bird)

full of hot air - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から

hot air#2 - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から