常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

single-eyed

辞書をめくっていたところ、たまたま“single-eyed”という項目が目に留まったので取り上げさせていただきます。

こちらの表現には2つの語義があり、文字通りの「単眼の」と「ひたむきな;誠実な」というものがあります。(『ジーニアス英和辞典』(第五版、大修館書店)より)
なぜ、「片目」という言葉から後者の定義が生まれたのか気になったので調べてみました。

まずgoo辞書では“with single-eyed”の形で載っており、『新約聖書』に収められた4つの福音書のうちの1つである『マタイによる福音書』の第6章22節に書かれている「目はからだのありかである。だから、あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいだろう」というものが関係しているとありました。しかし、こちらの文章から「ひたむき」の意味がどこから生まれたのかイマイチ分かりません。

そこでさらに調べると、同福音書の18章9節に「もしあなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい。」といったものがあることが分かりました。
この文章の前にある7節で「この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。」と述べられていることから、様々な解釈がありますが「まずは自分自身に正直であり、穢れなく、誠実であれ」ともとらえることができます。

以上のことからsingle-eyedは「ひたむきな、誠実な」などといった定義を持つと考えられます。(flyingbird)