常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

lees

読売新聞に、過去1世紀に渡って掲載されてきたレシピの中で、人気のあったものを特集することで、日本料理の変遷を振り返る『100年レシピ』。その中から、The Japan Newsではシチューを取り上げています。

100-year recipe / Taste of Japanese mom / Bone and leftover meat stew

In this column, we look back over changes in Japanese cuisine by featuring popular recipes carried in The Yomiuri Shimbun over the past century.

White cream stew, called shichu in Japanese, became popular as a home-cooked meal in 1966 when House Foods Corp. released House Stew Mix and shepherded the product to great success.

The manufacturer gave out samples to promote the product, and was often asked whether the dish was a soup made of sake lees or was instead simmered with white miso. House Foods found it difficult at first to encourage people to eat the unfamiliar dish, according to the company.

以下中略

http://the-japan-news.com/news/article/0002667704

取り上げるのは”lees”になります。単数形”lee”「《正式》(主に風からの)避難、保護;物陰;風の当たらない所」とは異なった意味合いになり、その語義は「1.《ワインの樽やびんの底にたまる》おり、(挽いたコーヒーなどがカップに残る)かす 2.かす、くず」になります。冠詞theを伴って用いられることが多いようです。ここでは”sake lees”「酒粕」という形で使われています。

シチューは、当初「スープ殻のシチュー煮」という名前で掲載されました。これに対応する英語は、見出しに使われている” Bone and leftover meat stew”になるのでしょう。牛乳が広く普及されるまでは使われておらず、味もあっさりしたものだったようです。現在の、濃厚な味のシチューが広まったのは1966年、ハウス食品の「ハウスシチューミクス」がヒットしてからのことで、試食宣伝の際にはその見た目から、酒粕からできたスープなのか、あるいは白味噌で煮たものなのかと尋ねられたといいます。私たちの生活にすっかり馴染んでいる日本の家庭料理、その背景について調べてみることも面白いかもしれません。(あいづ)