常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

関東甲信越英語教育学会月例会 感想

先日、昭和女子大学で行われた関東甲信越英語教育学会に参加させていただきました。二部に分かれており、一部目は関西学院大学からゲストスピーカーであるK先生が、「英語習得・学習における自動化の役割」との題目でレクチャーをされました。後半の部は、そのレクチャーを踏まえディスカッション、質問の時間となりました。参加している方は、中学高校の現役の英語教員が多く、その他にも、学部生や院生、大学教員など様々な方面から参加されていました。

一部の内容はごく簡単にまとめますと、学習において、顕在記憶(explicit memory)を潜在記憶(implicit memory)にすることが自動化につながるとのことでした。その過程で、その二つをつなぐ音読やシャドーイングを繰り返すことによる潜在学習(implicit learning)が効果的であるとのことでした。講義を聴かせていただいて、これまでに自分の中での音読等の学習体験から、また、UG先生に常日頃からご教授いただいている音読とシャドーイングの意義を、改めて明示的に学ぶことができました。さらに、認知や脳からのアプローチはこれまでにあまり触れたことがなかったため、とても勉強になりました。

二部では、このレクチャーを踏まえ、小グループに分かれて意見交換や、ディスカッションを行いましたが、現役の先生方の視点がとても印象に残りました。私のグループにいらっしゃた、ある大学の英語教員の方と、長年、高校で英語教員をしている方のお話を聞く中で共通していたことは、「どのような生徒がいるかということをまず念頭に置く」ということでした。実際に、その先生方は、なかなか英語の発音ができない生徒や、英語にやる気を持てない生徒が多いクラスを持つ経験が多いとのことでした。そこから、音読・シャドーイングなどの方法を、「良い」といってただ用いるのではなく、どのようなレベルのものをどのように、どのタイミングで行うのかが大切だとおっしゃっていました。大学の英語教員の方は、実際に簡単な英語の絵本を、教師が読み聞かせた後に、実際に生徒どうしで読み聞かせ(音読)を行うことで、生徒自身の取り組みや意欲に大きく変化があったそうです。まだ現場での指導経験がほとんどない私としては、このような視点はこれから勉強する上でも、実践していく上でもとても参考になりました。この点はこの機会に参加させていただいて得ることが出来た一番の収獲だと思います。

最後になりましたが、学会の主催者の皆様、K先生、関わってくださった先生方、学ぶ機会の情報を与えてくださったUG先生、本当にありがとうございました。これからもこのような機会を自分に活かしていきたいと思います。(Dew)