常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

gird one's loins #4

映画“The Devil wears Prada”より、表現を紹介いたします。ブログでも何度か扱っているため、みなさんには馴染みのある単語”gird”を使った表現になります。先日行われたゼミ合宿でも紹介した表現でもあり、また先週のブログにもgird your bootsが紹介されていましたが、私の口頭の説明には至らない点も多々あったでしょう。そこで、この場を借り、ゼミ生の皆さんの復習かたがた紹介させていただきます。

紹介させていただくのは”gird (up) one’s loins”です。劇中では、ファッションディレクターNigelが、悪魔のような編集長Mirandaが予定より早く出社すると聞き、それまで気の緩んでいた社員全員にこう呼びかけます。

Nigel: All right, everyone. Gird your loins!!

字幕では『みんな、戦闘態勢に入れ!』と翻訳がなされていました。“gird”は「(帯などを)締める/(衣服を)帯で締める 」、“loin”は「腰(部)/腰肉」という意味です。(ともにGenius第三版より) ステーキをお好みの方はお気づきのように、サーロイン(sirloin)やテンダーロイン(tenderloin)の”loin”です。“gird (up) one’s loins”は「(困難なことに)身構える、ふんどしを締めてかかる」(Genius 第三版)という意味になります。

この表現の起源を調べて行くと、聖書にルーツがあるのだと分かりました。古代の近東(the ancient Near East)では男女ともに丈の長いチュニックを着ていたのですが、肉体労働や戦闘などをする際にはその長さゆえに脚の動きに干渉してしまいます。そこで、邪魔にならないようにと、裾を腰回りにまで持ち上げ結んでいたそうです。以下のwebサイトでイラスト付きで解説しているので、是非ご覧ください。

http://www.artofmanliness.com/2014/10/02/how-to-gird-up-your-loins-an-illustrated-guide/

また、wikipediaによると、ローマ帝国においても、戦闘時の機動性を高めるために同じく腰回りに結んでいたそうです。戦闘や労働などに向けてこのようにして備えることから、現在は「身構える、ふんどしを締めてかかる」という意味合いを表現するphraseとして使われていようです。これから新学年や新生活が始まる、やや浮かれてしまいがちなこの時期にはぴったり表現かもしれません。(potter)

http://en.wikipedia.org/wiki/Loin

http://d.hatena.ne.jp/A30/20150321/1426933521

http://d.hatena.ne.jp/A30/20130104/1357264352

http://d.hatena.ne.jp/A30/20150322/1426971941