常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

he was on our ideological wave-length

Shou-VR Asterisk君がすでに扱っているニュースですが、ウールウィッチウーリッチ(/ˈwʊlɪdʒ/ /ˈwʊlɪtʃ/)で起きた事件についての記事です。The Guardianから。

Woolwich attack suspect identified as Michael Adebolajo | UK news | The Guardian
(前略)
Anjem Choudary, the former leader of al-Muhajiroun, has confirmed that he knew Adebolajo, who was pictured on video in the immediate aftermath of the horrific killing waving a cleaver with bloodied hands.

Choudary said: "He was on our ideological wave-length."

He added that Adebolajo was very quiet and that Mohammed, now believed to be abroad, also remembered Adebolajo attending events held by the group.

赤字の箇所が気になります。意味はすぐにわかりますが、日本語にしにくい表現です。意訳をすると、「Adebolajoは、我々の考えに囚われたのだ」ということになるでしょう。

ここで使用されるonは、「〜に熱意を持って」「〜に依存して」というニュアンスが含まれているでしょう(『リーダーズ英和辞典』)。「熱心だった」という訳語も思い浮かびます。

面白いのは、ourとideologyが共起していることです。このourは、どのようにとっても面白いのですが、とりあえずal-Muhajirounのという意味で捉えました。このように捉えると発言者であるAnjem Choudary氏は引退した後には、al-Muhajirounの教えを守り続けていることがわかります。

最後に、もっとも難しいのは、ideologicalという言葉です。つまり“Hey, you!”と後ろから呼ばれて振り返るアレです。今のところ私は、この発言で使用されるideologyについては「al-Muhajirounの考え」つまり、「(知らず知らずのうちに)教団内で浸透している、教団内における支配的な思想の構造 = 枠組み」という意味で捉えました。しかしこう解釈はしても、この意味を和文和訳して伝えることは容易ではありません。次のwave-lengthに伴い便宜的に「教え」と訳しました。(Othello)