二足のわらじを履くについて
先輩のこと - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森からの見出しに扱われている「二足のわらじ」という表現について書きます。
今は学校の机の上にあり手元にないのですが、何号か前の大修館『英語教育』のQuestion Boxのコーナーにて真野泰先生が詳しくご回答をなさっておりました。それがwear two hatsという表現です。日英のニュアンスの違いもあるので、正確には訳すことができませんが、一応wear two hatsという表現で「二足のわらじ」に近いことを表すことが可能なようです(c.f. shredとhat - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から)。
それでは、ほかにはどのような表現で「二足のわらじ」を表すことができるのでしょうか?
調べてみるといくつかあります。面白いと思ったのがhave one’s finger in two piesです(『ルミナス和英』)。こちらはLDOCEで調べてみると“to be involved in many activities and to have influence over a lot of people, used especially when you think someone has too much influence”と定義されており、横田さんの記事には合わないような気がします。ちなみにインターネットで検索してみると次のような例文がありました。
This young actor sure has a finger in several pies at the moment!
(この若くハツラツした女優はまさにたくさんの役を担っている!)
http://www.fulloncinema.com/news/aparna-bajpai-has-a-finger-in-two-pies/
次いでイギリス演劇を勉強していた時に勉強した(play act, have, perform) a dual (double) role という表現も思いつきました。こちらは、どちらかと言えば演劇用語な気がします。ちなみに、私のメモによると一人二役をする俳優女優をironmanと表現するようです。さてdual roleの例文としては次が挙げられます。例文は『夏の夜の夢』についてです。
On the more traditionally Shakespearean side of the casting ledger is Timothy Edward Kane in a dual role as Theseus, Duke of Athens, and Oberon, the fairy king
(さらにシェイクスピアのキャスト帳の伝統を見てみると、ティモシー・エドワード・ケーンは、シーシアス(アテネの公爵)とオーベロン(妖精の王)を一人二役で演じた)
http://www.talkinbroadway.com/regional/chicago/ch382.html
当ブログのバックナンバーを瞥見してみると、entrepreneurship and savvy business deals - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森からにあるようにdouble successfully asという表現も見出すことができます。単純にdoubleでも「二役をやる」という表現ができます(『リーダーズ英和辞典』)。
ほかにもdouble in brassというアメリカの俗語も見つけました。『リーダーズ英和辞典』によれば「(バンドで演奏と演技の)両方をやる;別の役を兼ねる」という意味になります。
この中ですとdouble successfully as an athlete and a graduate student in master’s programme.かwear two hatsが良いかな、と思いました。もしかしたら、見出しだと単純にwear two hatsで良いかもしれません。(Othello)