常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

“Tarzan”, a musical about a brawny man who swings on vines, fell flat in New York but soared in Germany

昨日扱った記事の続きです。

The tills are alive - Musical theatre
Western musicals either run in English with subtitles or are put on by actors in the local language. It helps to have been a hit on Broadway, but it is not essential. Disney’s “Tarzan”, a musical about a brawny man who swings on vines, fell flat in New York but soared in Germany.

この記事には、洒落た表現があり、内容も興味深いのでじっくり読めます。洒落た表現の一例として挙げたいのは、次のDisney’s “Tarzan”, a musical about a brawny man who swings on vines, fell flat in New York but soared in Germany.という一節です。

ターザンは、「ぶどうの蔦をブラブラと揺れます」が、丁寧に見て行きたいと思います。まず、swing「前後に揺れる」転じて「(意見、立場、好みなどが)揺れる、動揺する」となり、ここでは「成功するか失敗するかわからない状態」を指します。

次いでvineは「ぶどうの蔦、ツル」を指しますが、ここでは「ミュージカルのヒット」と引っ掛けているような気がします。三省堂『英語イメージ辞典』によると「つる植物、ぶどうなど。豊饒[大地に作物が実ること]をあらわし生命樹[the Tree of Life]と結びつく. . . ギリシャではディオソニスとアポロに捧げられる。ユダヤ教では選ばれた民の平穏な生活を表す」とあります。さらにさらにdie on the vine「実を結ばずに終わる」、under one’s vine and fig trees「我が家で安全に」ということからも「豊かに実ること」と結びつくことがわかります。

fall flatは文字通り「うつ伏せに倒れる」という意味ですが、実は「失敗に終わる」という意味があります。次いでsoarはもちろん「高く昇る、舞い上がる、空をかける;飛翔する」という意味です。ここでは「新しい上演先を求めて飛び立つ」という感じでしょうか。

すべてを踏まえると「屈強な男がヒットという名のぶどうのツルをゆらゆらと揺れるディズニーの『ターザン』は、ニューヨークでは木からバタンと落ちてしまったが、ドイツにあるツルへと飛び立った」という具合に無理やり試訳をすることができるでしょう。(Othello)