常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Shakespeareの香り:内面美と外見美

Sugar君から質問をもらいました(a bed of roses - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から)。内容は次の通り。

>But what may seem like a harmonious and blissful existence from the outside isn’t (ママ)allows a bed of roses behind closed doors.

>なんとなくthe Bardのにおいがしますが、Othelloさん、そうなのでしょうか。

個人的に言えば、記事の文からは、あまりShakespeareのにおいは感じませんでした。しかし、ゴシップネタを読んでみると、「彼女は本当に幸せで美しいの?」という疑問を与えていることから、シェイクスピアの内面美と外見美の理論を無理やり当てはめてみても面白いかな、と思いつきました。

よくシェイクスピアの作品で言及されるのは、「外見の美しさは、内面の美しさを反映する」ということです。ここでは、以前の記事で北島さんが『ロミオとジュリエット』についてのコメントをしているので、重複を避けるため、ソネット54番を見てみましょう。

O, how much more doth beauty beauteous seem
By that sweet ornament which truth doth give.
The rose looks fair, but fairer we it deem
For that sweet odour which doth in it live.
The canker-blooms have full as deep a dye
As the perfumed tincture of the roses,
Hang on such thorns and play as wantonly
When summer's breath their masked buds discloses:
But, for their virtue only is their show,
They live unwoo'd and unrespected fade,
Die to themselves. Sweet roses do not so;
Of their sweet deaths are sweetest odours made:
And so of you, beauteous and lovely youth,
When that shall fade, my verse distills your truth.
ああ、美とは誠実さから高貴な装飾を受け取り
美しさを増すのだ
薔薇は美しい、でも私達が思っている以上に美しいのは
その甘い香りが、薔薇の中にあるから、
野薔薇も、その色合いの濃さは
香り立つ薔薇と同じ、
同じ棘を持ち、夏のそよ風が蕾を開かせれば、同じように風と戯れる、
でも、野薔薇にある美しさというのは、見かけだけ
誰も気にかけずに枯れ
野薔薇は野薔薇のために枯れる。香り立つ薔薇は違う。
薔薇が萎むときは、その香りから薔薇であるという存在を示すような香りの香水ができる
そして、あなたも、美しく、愛くるしい若い
あなたがいなくなる時、私の詩はあなたの誠実さを蒸留し香水を作り出すのだ
(訳筆者、間違いがあったら指摘してください)

ここで言う内面とは、香りのこと。つまり、野薔薇は香りもないので美しくはない、でも香り立つ薔薇はその香りがあるが故に美しい、ということです。実際に野薔薇にはbeautyとは描かれていません。

記事に戻ってみると、彼女の外なる美しさは、ランキングにて証明されましたが、内なる美しさが現れる家庭生活は円満とは言えないようです。(Othello)