常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問:welfare

UG先生からご指名質問を頂きました(「welfare 再び - 田邉祐司ゼミ 常時英心:言葉の森から」)」。今回はwelfareの訳をどうするのかです。

We obviously have no higher priority than the welfare of our citizens.

直訳すると「我々アメリ国務省としては、当然アメリカの一般市民の安全よりも優先するべき行為というものは存在しない」となりますが,もう少し突っ込んで考えてみます。

まず、welfareについて、『リーダーズ英和辞典』を参照してみると、「福祉」以外の意味が載っています。第1義に「幸福(安楽、健康、快適)な生活(暮らし向き)、幸福、福祉、福利、繁栄」あります。LDOCEには第1義に“someone’s welfare is their health and happiness”とあり、次のような例文が記されています。

Our only concern is the children’s welfare.

このように、必ずしもwelfareが現在,われわれが日本語でよく耳にする「福祉」を表す単語だけではないということがわかります。続いてOxford English Dictionaryを参照して詳しく調べてみます。

OEDでも、やはり第1義に「福祉」以外の言葉が定義されており、ことほど左様にwelfareという言葉の意味の核がわかります。

1. a. “The state or condition of doing or being well; good fortune, happiness, or well-being (of a person, community, or thing); thriving or successful progress in life, prosperity”

このようにwelfareの意味中でも核になる重要な意味は必ずしも「福祉」だけではなく、LDOCEにて見出されるような“someone’s welfare is their health and happiness”という意味が適切でしょう。

そこでOEDおよびLDOCEを参考にThe state or condition of doing or being wellという意味と記事の本文を踏まえると、試訳にあるような、「(身の)安全」「人命」という訳が当てはまるような気がします。(Othello)