常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Translate Thisに挑戦―odorとscent―

DYのTranslate Thisというコーナーにちょこちょこ挑戦しているSugiuchiです。今回は英文和訳をしている時に疑問に思った箇所を取り上げます。
Penguins can sniff out the odor of lifelong mates, helping them reunite in crowded colonies, and also can identify the scent of close kin to avoid inbreeding, scientists said.(DY 9月29日付16面)
ここで悩んだのが,odorとscentの日本語訳をどうするかです。上位概念でとらえると両者とも「におい」なのですが,使い分けがされているとなると,その要素を日本語訳に取り入れなければなりません。
そこで『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)によると,odorは「(物から出る)におい,かおり」で主に臭気,強いにおいを指すとあり,scentは「(人・動物の)臭跡,かすかなにおい」とありました。よって上記英文の日本語訳としては「生涯連れそう仲間が発する強いにおい」と「家族のかすかなにおい」が考えられます。
蛇足ですが,「におい」には他にも,修飾語がないときはしばしば悪臭を意味するsmell,よいにおいのfragrance,香水などの豊かな快いにおいのperfume,芳しいにおいのaroma,そして強烈でいやなにおいのstenchなどがあります。さらに学問の世界にはOlfactics「嗅覚学」というものもあります。(Sugiuchi)