buttoned-up bunch of repressives in bowler hats: オセローの拾った表現2
前回の記事で扱いきれなかった英義表現を拾いたいと思います。
Here, in vivid detail, is a squalid portrait of binge-drinking Britain. Some of the more incapacitated specimens are in mid-vomit. A few have simply passed out.
(中略)
The nation which was once regarded as a buttoned-up bunch of repressives in bowler hats is now a land of incontinent alcoholics.
Spiffing, eh?
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2040260/Binge-drinking-Shaming-images-turned-Britain-laughing-stock.html#
さて,最後のパラグラフのa buttoned-up bunch of repressive in bowler hatsとは何のことでしょうか。一つずつ意味を調べます。buttoned-upは,「無口な,うちとけない,とりすました;きちんとした,堅実な;周到な」などの意味があります。そして,bunchは「仲間,集団」などの意味があります(以下特筆がない限り引用は『リーダーズ英和辞典』研究社による)。ここから a buttoned-up bunchは「きちんとした紳士的な集団」と訳せるかと思います。
つぎにbowler hatsですが,これは「山高帽子」のことで(チャップリンの帽子を創造するとわかりやすい),「William Bowler 1850年に考案したLondonの帽子屋」とあります(同上)つまりrepressive in bowler hatsで「ボーラー・ハットに欲望や感情を抑えた」と訳せます。したがって,a buttoned-up bunch of repressive in bowler hatsは「ボーラー・ハットの中に私欲を抑えた紳士的な集団」と訳せます。ヴィクトリア朝的な美徳が重んじられた時代に最盛期を迎えたイングランドらしい表現です。本文では,イングランドが抑えきれないアルコールの国と見なされていることを嘆いています。
そして,もうひとつ,上のような古き良き時代と対比されているのが,冒頭のbinge-drinkingです。このbingeは「〈口語〉飲み騒ぎ,酒盛り,好きなだけやること」という意味です。これがdrinkingにくっついて「大酒飲みの」という意味になると推測されます。そして最後に記事は,皮肉っぽく “Spiffing, eh?(え?立派だって!?)”としめられます。やはり,このような記事が,一面を飾るのも,ロウワー・ミドル・クラスからミドル・ミドル・クラスの女性に購読者の多いと言われる大衆紙Daily Mailならではだと思います。(Othello)